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反共感論-社会はいかに判断を誤るか-を読んで。 「共感」に嫌気が差しているあなたへ。

反共感論はイエール大学教授のポール・ブルームさんによる著作だ。(原題 AGAINST EMPATHY)


このnoteでは自分が本書を読んで感じたことを反共感論の主張と絡めながら随時更新していくよ。更新はTwitterでもお知らせする。

Twitterアカウント @hiragi_sand 

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ブルームさんの大まかな主張はこうだ。

・「共感」って言葉は曖昧すぎる、お前らちゃんと使い分けできてないよ。
・「認知的共感」は過大評価されすぎてる、ぼくはこれにアンチしてくよ。
・ただし、全ての「共感」にアンチはしない、良さも認めてくから。
・合理的な判断もしようね、共感だけに頼るとヤバイよ。

こんな感じだ、300P近い本をとても大雑把にまとめたものだから細かい相違点についての指摘は遠慮してほしい。

<本の大まかな概要>
全6章からなる本で、それぞれを自立したエッセイとして読める。感覚的には第1章がこの本のとても大事なところだろうなという印象だ。曲でいう「サビ」のようなところだった。

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以下、箇条書きで気になった部分について考察を加えていく。


—————————————————————共感は私たちの視野を狭くする
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たしかに。“アフリカの子供たちを援助しようムーブメント”は定期的に来る。
 世界中で話題になっている黒人と連邦警察との対立(白人と有色人種の対立と言った方が適切かもしれない)は2014年にも話題になった。これらは一見「人権」に基づいた適切なムーブメントに見える。しかし現在アメリカで引き起こさせれている暴動や過激な主張、デモ行為を見ればこれらが単純に「人権」というトリガーのみによって引き起こされたものではないことは明らかだろう。

ここには「共感」という強い力が働いていることを見出せる。とりわけ「認知的共感」と呼ばれるものだ。この言葉は「他者の痛みを自分も感じる」という意味で使用している。
このアメリカのムーブメントの原因となった事件を整理してみると何かが見えてきそうだ。

この事件は“アメリカ”という国で起こったもの、そして1人の黒人男性が殺害されたという事件の「個別性」があったからこそ、ここまで大きな動きに繋がったのだろう。
白人vs有色人種、自由vs抑圧、平等vs不平等、などなど人々が好きそうな対立構造がたくさん並んでいる。

しかし、これと同じ条件でより多くの人間が殺されたとしてもそれは「統計的な数字」でしか人々の目には映らない。そこに「共感」が介入する余地はないのだ。

もしも私たちが統計的数字に認知的共感を感じる“すげー人類”だったら毎年ガンで亡くなる人の数字を見て卒倒してしまうだろうし、とっても健康志向になり、ガン検診に行く人の数は増えるだろう。

でも僕たちは自然災害によって、また、もちを喉につまらせて亡くなってしまう人々にいちいち共感しない。

共感をスポットライトに例えたブルームさんはまさに「言い得て妙」だと思う。舞台上にいる全ての役者にスポットライトを当てるの無理だ。それこそ一ヶ所に集まった時か1人、もしくは2人に当てるのが限界だ。

スポットライトの例についておもしろい新たな記述があったので追加する。


—————————————————————スポットライトが照らし出す場所はバイアスによって異なる—————————————————————

舞台においては照明係(スポットライト)は監督の演出によって誰に、どのシーンで、どの程度の光を当てるかを決められているため、全体の出来栄えを高めるために良い意味で偏りができる。主人公にスポットライトが当たらない舞台なんてあるのだろうか?あるのであれば観てみたいと思う。

しかし現実の世界は違う。誰に、どのシーンで、どの程度のスポットライトを当てるかはこの地球上の数十億人もいる照明係に委ねられているからだ。スポットライトの当て方は照明係の好み(バイアス)によって異なり、それぞれが思い描く理想のエンディングに向けてスポットライトを当てまくる。その光は数十億もの方向からランダムに当てられるが、広い広い舞台の上では影になる場所が多い。

しかしどの照明係も好き好んで光を当てたがる場所が存在する。それが人種差別問題、広義に言えば人権問題などである。

照明係はひょっとすれば、いきなり舞台の役者として振る舞う必要があるかもしれない。ゲリラ的な、台本の無い舞台で私たちは役を演じているのだ。

原作の台本を基に照明係をやっている人はいない。それぞれが異なり、時に似たような台本を用いてスポットライトを当てる。そこに正解はなく、だからこそ様々な対立が起きるのだろう。





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