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《短編小説集》なにがしかの話

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物語の半分はほろ苦さでできています
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2022年4月の記事一覧

好きな人ともう一度眠るまでの日々の話

 お布団には、夜の12時までに入るべし。  それが、この家でのルールだった。 「佳夜ちゃんは育ちざかりなんだから、これぐらい早く寝なくちゃ」  それが、家主である月子さんの口ぐせだった。でも私に言わせれば──同年代の、中学に入学しようかという少年少女なんて、もっと早くに眠っていると思うのだ。そのルールはむしろ、月子さん自身のためなのだろう。私がこの家に来るまでは、いつも夜の3時すぎに寝ていたらしいから。  ともあれ、私は今日も今日とて、月子さんと一緒に寝る準備をする。お