オーディオインターフェイスを冷やす方法
メインのオーディオインターフェイスをAPOGEEの「Symphony Desktop」に変えてからしばらく経ちますが、使用時の発熱が気になっていました。
Symphonyに限らず、DSP機能を搭載したオーディオインターフェイスは「小さなコンピューターの塊」とも言えるため、熱を持ちやすい傾向があります。
発熱対策をしないまま使用を続けると、電解コンデンサなどの寿命が短くなるという説もあります。
ここでは、私が試した熱処理方法の中から、現時点で最も使い勝手が良いと思った方法をご紹介します。
なお、この記事は、APOGEEの「Symphony Desktop」のように机の上に置けるサイズのオーディオインターフェイスの発熱対策についての話になります。
ラックタイプの機材には放熱パネルなど別の方法が必要になる場合もあるため、その点はご注意ください。
① ノートパソコン用の冷却台
オーディオインターフェイスを冷却する方法としてよく紹介されているのが、ノートパソコン用の冷却台です。
台の内部にファンが搭載されており、下から風を送り込んでパソコンを冷やす仕組みです。
卓上型オーディオインターフェイスを使っている場合には、この「ノートパソコン用の冷却台」が有効なケースもあります。
ただし、ノートパソコン用の冷却台はその名の通りノートパソコンサイズなので、机のスペースを取ってしまいがちです。
私は「Symphony Desktop」のコンパクトなサイズを気に入っているので、冷却台のためにスペースを割くのは避けたいと考えていました。
冷却台とオーディオインターフェイスを棚などに設置する方法もありますが、その場合、オーディオインターフェイスを手元で操作する利便性が損なわれてしまいます。
そのため、最終的に「ノートパソコン用の冷却台」以外の方法を検討することにしました。
② 普通のUSB扇風機(ファン)
次に試したのがオーディオインターフェイスの隣にUSB扇風機を設置するという方法です。
もともと無停電電源装置(UPS)のバッテリーを冷やすためにUSB扇風機を使っていたため、それをオーディオインターフェイスの隣に置いてみたところ、効果は抜群でした。縦のスペースは必要ですが、横幅が小さいため机の上でも設置しやすいサイズ感です。
ただし、このUSB扇風機にもいくつかのデメリットがあります。
まず、ファンの音がかなり大きいことです。高いSN比のオーディオインターフェイスを使っているのに、ファンノイズが常に響いていると、本末転倒な印象が拭えませんでした。
さらに、スピーカーの音にも悪影響があるように感じました。USB扇風機の高さがあるため、スピーカーの音が扇風機にぶつかって定位感が少しズレるような印象を受けました。もしかすると、ファンノイズ自体が定位のズレにつながっているのかもしれませんが、ミックス作業ではわずかなズレでもストレスになります。
そのため、別の冷却方法を探すことにしました。
③ 平置き型のUSBファン
次にネットで試してみたのが「平置き」できるタイプのUSBファンです。
↑のUSB扇風機は「平置き」でも風が横から出る設計になっているため、スピーカーの出音と干渉しませんでした。
ただし、「ノートパソコンのファンが全力で回っているとき」程度の音がするため、作業中にストレスを感じることがありました。
今回使った「折りたたみ式のファン」は、平置きにしてノートパソコンなどを上に置けるもので、「ノートパソコン用の冷却台」をコンパクトにしたような設計です。
四方に伸ばせる「足」を畳んでおけば、「Symphony Desktop」などの机上設置型オーディオインターフェイスにもぴったりのサイズ感になります。
また、音も「静かなノートパソコン」程度で、ほとんどストレスなく使用できました。
しかし、実際にこの「折りたたみ式のファン」を机の上に置いて、その上にオーディオインターフェイスを乗せてみると、ほとんど風が届かないという問題がありました。
どうやらファンの下部から吸気する構造のため、机の上では空気が十分に吸い込まれず、風がほぼ発生しないようです。
ちなみに、この「折りたたみ式のファン」をメタルラックなどに置いた場合、編み目の隙間からしっかりと吸気でき、十分な風量が得られました。
ただし、ラックに設置すると手元でオーディオインターフェイスを操作できなくなるため、この方法も断念しました。
④ ゴム足を使って上げ底
次に試したのが「ゴム足を使って上げ底」をするという方法です。
この方法は「Yugoさん」という作曲家の方のブログで紹介されていた方法です。
オーディオインターフェイスの底にゴム足を付けて、机との間に隙間を設けることで確かにオーディオインターフェイスの熱が少し緩和されました。
ただ、「Symphony Desktop」では、ゴム足を付けただけでは排熱が十分ではないようでした。
また、Yugoさんが紹介していたゴム足について、「弱めの両面テープで、取り外してもべたつきが残らず綺麗に戻せます」と説明されていましたが、実際にオーディオインターフェイスの足にこのゴム足を付けたところ、かなり強めに接着されてしまいました。
ゴム足を取り外そうとした際には、オーディオインターフェイスの足が外れてしまったり、ベタつきが残ってしまったりしたため、機器との相性があるかもしれません。
(ちなみに、YugoさんはYouTubeでも役立つ動画を多く配信しており、私もよく拝見させていただいております。)
⑤ 最終的な解決方法
どの方法もいまひとつで悩んでいたのですが、「折りたたみ式のファン」と「ゴム足」を見ているうちに、「折りたたみ式のファンにゴム足を付ければ解決するのでは?」と思いつきました。
折りたたみ式のファンにゴム足を付けて、その上にオーディオインターフェイスを載せるという方法です。
面から見た配置イメージは以下のようになります。
(上)
オーディオインターフェイス
折りたたみ式のファン
ゴム足 ゴム足
机机机机机机机机机机机机机
(下)
この方法では、ゴム足で浮かせた隙間から「折りたたみ式のファン」が吸気するため、十分な風量が得られるようになりました。
また、机とオーディオインターフェイスの間に隙間を確保できるため、机の表面に熱がこもることも防げます。
さらに、ゴム足をオーディオインターフェイスではなく、安価な「折りたたみ式のファン」に付ければ良いので、インターフェイス本体に直接ゴム足を接着するのに抵抗がある方にも試しやすい方法です。
この方法についてデメリットを挙げるとすれば以下のとおりです。
・折りたたみ式のファンのレビューでは、片方のファンが回らないことがある(私の購入品は問題ありませんでした)。
・製造メーカーが有名でないため、精密機械であるオーディオインターフェイスを載せるのに不安があるかもしれない。
・見た目は良くない。
オーディオインターフェイスの熱対策について、他に良い方法があれば、コメント欄で共有いただけると幸いです。