ギター用チューナーの選び方とおすすめの製品
ギターの練習や演奏をする上で正確なチューニングはとても大事なことです。
どんなに素晴らしい演奏技術があってもチューニングがズレていると、それだけで「下手」という印象を与えてしまいます。
チューニングをするためには基本的に「チューナー」という機材が必要になりますが、チューナーの種類も様々で、音程を非常に細かく合わせることができるもの、チューニングの早さを売りにしているもの、音質の良いバッファーが内蔵されているもの・・・など選ぶポイントも多くあります。
そこでチューナーの選び方を説明した上で、おすすめのチューナーをいくつか紹介していきたいと思います。
◆チューナーの種類
「チューナー」と言っても種類がいくつかありますので、種類ごとの特徴とメリット・デメリットを説明していきたいと思います。
◇クリップチューナー
「クリップチューナー」は読んで字の如し、ギターやベースのヘッドの部分にクリップで挟んで取り付けるタイプのチューナーです。
ギターの振動を拾ってチューニングするので出力端子のないギターでもチューニングが可能です。
クリップチューナーのメリット
・気軽に使える
クリップチューナーはギターのヘッド部分に挟んでおけるので、いつでも気軽にチューニングできるのが一番のメリットです。
自宅の練習用ギターのヘッドに普段から付けておくと、すぐにチューニングをして練習を始めることができるのでおすすめです。
・軽くて小さい
クリップチューナーは基本的に軽くて小さいのでスタジオなどにも気軽に持っていくことができます。
・ギター本体の音量を絞っていてもチューニングできる
クリップチューナーはギターの振動を拾ってチューニングするタイプなのでギター本体の音量を絞っていてもチューニングができます。
・アダプターやパワーサプライを持ち運ぶ必要がない
クリップチューナーは消費電力が少なく小さ目のボタン電池で駆動するものほとんどなので、アダプターやパワーサプライを持ち歩く必要がありません。電池も比較的長持ちする機種が多いです。
・安い
クリップチューナーは安いものが多く1000円~2000円で買えるものもあります。
クリップチューナーのデメリット
・小さいので無くしやすい、壊してしまうことがある
クリップチューナーは小さいというメリットがある反面で、無くしてしまう人も多いです。
またギターのヘッドに付けたままギグバック(ケース)に入れるとクリップの部分が壊れてしまうことがあるため、ギグバックにポケットに入れて持ち運ぶ人が多いと思いますが、ポケットに入れたはずがいつの間にか行方不明になった・・・という経験がある人も少なくないと思います。
無くしては新しいのを買って、無くしたものが見つかって・・・という無限ループを繰り返すこともあり、クリップチューナーを何個も持っているというギタリストもいたりします。
・スタジオやライブハウスで他の楽器が鳴っていると上手くチューニングできないことがある
クリップチューナーは振動を拾うタイプなので、スタジオやライブハウスなどで爆音が鳴り響いている環境下では他の楽器の振動と共鳴してしまって上手く音が拾えないことがあります。(特に低音弦)
ただ、最近のクリップチューナーは性能が上がってきているため昔の機種に比べるとスタジオやライブハウスでも問題なく使えるものが増えてきているという印象です。
・見た目が良くない(と言う人が多い)
ライブでクリップチューナーを使うギタリストが少ない一番の理由は「見た目が良くない」という印象を持っている人が多いからではないかと思います。
私はヘッドにクリップチューナーを付けたまま演奏することも多いですが「クリップチューナーを付けたままライブに出るのは格好が悪い」と感じる人も多く、クリップチューナーは自宅でしか使わないという人もいます。
・ミュート機能がない
これもライブでクリップチューナーよりもペダル型チューナーを使うギタリストが多い理由だと思います。(ミュート機能についてはペダルチューナーの箇所で説明します)
・バッファ機能がない
ペダル型チューナーと違ってクリップチューナーには当然バッファ機能がありません。(バッファについても後ほど説明します。)
◇ペダルチューナー
ペダル型のチューナー(ペダルチューナー)は、コンパクトエフェクターと同じような形をしたチューナーで、ボードに組み込むことができるタイプのチューナーです。
ギターの出力端子からの信号を拾ってチューニングするため精度が高いものが多く、足で操作できるため演奏の途中に手を使わずにチューナーのオン・オフができます。
ペダルチューナーのメリット
・精度が高いものが多い
ペダルチューナーは精度が高いものが多いためレコーディングなどシビアなチューニングが要求される場面ではペダルチューナーを使うことも多いです。
・壊れにくい、無くしにくい
ペダルチューナーはコンパクトエフェクターと同じように「踏む」ことが前提となっているため頑丈に出来ているものが多く、一度買うと長く使えるものが多いです。
・うるさい環境でもチューニングしやすい
ペダルチューナーはギターの出力端子からの信号を拾ってチューニングするためスタジオやライブハウスで轟音が鳴り響いている中でもチューニングできることが多いです。
・見た目が良い製品が多い
ペダルチューナーは見た目がお洒落だったり格好良いデザインのものも多く、好きな画像を表示できる機能が付いた製品もあったりします。
・ミュート機能が便利
ペダルチューナーは基本的にスイッチを踏むとミュート(音が出ない)状態になるので、ライブでボーカルがMCをしている際にチューナーをオンにしてミュートしておくことでMCの邪魔をしなくて済むようになります。
また曲中でブレイク(一時無音状態にする演出)をする時にもボリュームペダルの代わりにペダル型チューナーを使うという方法があります。
・バッファ機能が便利な機種が多い
多くのペダルチューナーには「バッファ」が搭載されています。
「バッファ」はギターの微弱な信号を大きくして音質が劣化しないようにするための機能です。
トゥルーバイパス(オフにしたときにバッファが入らない)のエフェクターを直列で何個も繋いだ時や、長めのシールドを使った際に、高音域がボヤけたような「ハイ落ち」という現象が起きることが多いのですが、バッファが搭載されたペダルチューナーを通すことで「ハイ落ち」がほとんどない元気なサウンドを保つことができるようになります。
メーカーによって「煌びやかなサウンド」になるものや「中音域を強調したような太めのサウンド」などキャラクターが異なったりしますし、敢えてバッファをオフにして「ハイ落ち」させたサウンドを作れる機種もあるため、ペダルチューナーを入れ替えたり設定を変えることで、積極的に音作りに活用することができたりします。
ペダルチューナーのデメリット
・シールドを繋ぐのが面倒
ペダルチューナーはギターの出力端子からの信号を拾ってチューニングするため当然のことながらシールドでギターとチューナーを繋ぐ必要があり面倒です。
チューナーをボードに組み込んでいればそれほど手間ではないのですが「自宅でちょっとギターを弾きたい」というような場合にはクリップチューナーのほうが気軽に使えます。
・電池で駆動するとすぐに電池が無くなるタイプの機種がある
最近のペダルチューナーは機能が豊富な反面、電池で駆動するとあっという間に電池が無くなるタイプの機種もあります。
そもそも電池を入れる仕組みになっておらずアダプターやパワーサプライから電源供給することを前提とした機種も多いです。
・ノイズが発生する場合がある
同じアダプターやパワーサプライからペダルチューナーとアナログの歪み系ペダルに電源供給をした場合にノイズが発生することがあります。
このノイズはアイソレートされたパワーサプライを使うことで解消するケースが多いです。
・価格帯が高いものが多い
クリップチューナーに比べるとペダルチューナーは高いものが多く、裕福な社会人ギタリストがボードを「映えさせる」目的で使っている人も多い印象です。
◇カード型・据え置き型(昔ながらのタイプ)
20年くらい前まではチューナーと言えばカード型・据え置き型と呼ばれるような、クリップ型でもペダル型でもない「カード型や箱形のチューナ-」が主流でした。
ギタリストにとっては今となっては懐かしい機材で、最近では「カード型・据え置き型」のチューナーを使うメリットはあまりないと思いますが、一応メリットとデメリットを挙げておきたいと思います。
カード型・据え置き型のメリット
・ギター以外の楽器にも使えるものが多い、安い
カード型・据え置き型のチューナーは吹奏楽の管弦楽器などにも使える機種も多い・・・というか、最近では吹奏楽の方が持っていることが多いイメージです。
価格帯も安いものが多いので「複数の楽器を演奏するけど、チューナーにあまりお金をかけたくない・・・」という場合には選択肢に入れても良いかも知れません。
・メトロノームなどの機能が付いている機種がある
「カード型・据え置き型」のチューナーにはメトロノームなどの機能が付いている機種もあるため「メトロノームとチューナーが欲しいけどお金がない・・・」という場合には便利かも知れません。
ただ単体のメトロノームに比べると使いづらい部分もあるため出来ればチューナーとメトロノームは別々に用意したほうが良いと思います。
カード型・据え置き型のデメリット
・足で操作できない、手の届く場所に設置しにくい
カード型・据え置き型の最大のデメリットはライブ中の「チューニングする時の手間」だと思います。
クリップチューナーは手の届くヘッドに装着できますし、ペダルチューナーは足で操作できますが、カード型・据え置き型は手に届く場所に設置できないですし、足で踏むこともできません。
そのためチューニングする度にしゃがんで足下にあるチューナーを操作したりすることになるのですが、これが面倒です。
「MC中にチューニングしていたらMCが終わってしまって次の曲が始まってしまった・・・」という事故になりやすいです。
・チューニングの度にシールドを抜き差ししなければならない場合がある
昔はギターをチューニングする時はアンプなどに挿しているシールドを抜いてチューナーに挿して・・・という作業をするのが普通だったのですが、この作業は面倒です。
またシールドを抜いたり挿したりすることによってアンプから爆音のノイズを出してしまいスピーカーを痛めるという事故に繋がるリスクもあります。
最近のカード型・据え置き型のチューナーはバイパスした音声信号を出力するアウトプット端子が付いているものもあるため、そのような場合にはシールドを抜き差しする必要はありませんが、前記のペダルチューナーに比べるとバッファの性能や挙動がはっきりしない製品もあったりするので、やはりペダル型のほうが安心感はあります。
◇ラックタイプのチューナー
ライブで華やかな演出をしたいギタリストにお勧めしたいのがラックタイプのチューナーです。
演奏に合わせてLEDがカラフルにキラキラと動くため観客側に「何か凄そうな機材!」というインパクトを与えることができます。
ラックタイプのチューナーのメリット
見た目。
見た目のインパクトで練習不足すら誤魔化して乗り切ることができるかも知れません。
ラックタイプのチューナーのデメリット
重い。大きい。
昔、バンドのメンバーが巨大なラックにチューナーだけで入れて持ち運んでいたのですが非常に重くて邪魔そうだな・・・と思ってました。
メンバーの代わりにチューナーの入ったラックを持ち運んだこともあったのですが、かなり重くてイライラしました。
ただ、最近のラックタイプのチューナーは軽いものが多くてKORGの「 Pitchblack X Pro」は400gくらいしかありません。
そのためチューナーを単体で持ち運ぶのであればそれほど重さは気にならないですが、ラックに入れるとなるとラック自体が重いので結構な重量の物体になります。
◇マルチエフェクターやプラグインに入っているチューナー
最近のマルチエフェクター(マルチプロセッサー)の中に高性能なチューナーが入っていることが多いので、常にマルチエフェクターを足下に置いて使っている人であれば別途チューナーを買う必要はない、というケースも多いと思います。
例えば人気のBOSS「GT-1」というマルチエフェクターに入っているチューナーは基準ピッチを435~445Hzの間で変更することができ、かつチューニング時に「ミュートをする」「エフェクトをオフにした音を出す」「エフェクトをオンにした音を出す」などの設定ができるようになっています。
ただマルチエフェクターの画面は立ったままだと見えづらいこともあるので、そういった場合にはクリップチューナーか大画面のペダルチューナーを用意しておくと便利だと思います。
◇アプリチューナー
最近では、スマートフォンのアプリを利用したチューナーも人気があります。
アプリチューナーは手軽でお金をあまりかけずに使えるというメリットがありますが、スマートフォンのマイクを使用するため、周囲の音に影響されやすくてチューニングに時間がかかってしまったり、正確にチューニングできない場合があるといったデメリットもあります。
そのためアプリのチューナーはあくまでも簡易用・緊急用としておき、別にちゃんとしたチューナーを用意しておくことをお勧めします。
◆チューナー選びのポイント
チューナーを選ぶ際には以下のポイントを考慮すると良いです。
◇精度・チューニングの早さ
レコーディングなどで使用する場合には出来るだけ細かくチューニングできる精度の高いチューナーが必要になります。
一方で精度の高いチューナーはチューニングに時間がかかりやすいという傾向があるため、精度の高いチューナーはライブ中の短いMCの時間でチューニングするのが難しい、という場合もあります。
またそもそもギターやベースという楽器はチューニングを正確に合わせるのが難しい(厳密に言えばチューニングがぴったり合わせることは理論上は不可能な)楽器ですし、その微妙なチューニングのズレがギターらしいサウンドの要素になっていることも良くあります。
ギターを弾いている間にチューニングがズレてきたという経験をしたことがある人は多いと思いますし、チューニングの「精度」と「速さ」はトレードオフの関係になりやすいので、精度と速さのどちらを重視するのかを決めてから購入する製品を決めたほうが迷いにくいかも知れません。
設定を変更することで、精度の高い細かいチューニングと、ざっくりと早くできるチューニングの両方を使い分けられる製品もあるので、迷った場合にはそのような製品を選ぶのも良いと思います。
◇基準ピッチの変更の可否
チューナーの購入で失敗することが多いケースが「基準ピッチを変更できない製品を買ってしまい買い直す」というパターンです。
ピアノや管弦楽器などクラシック系の演奏者と一緒に演奏・録音する場合には基準ピッチが442Hzで指定されることも多いです。
また一部のアーティストの音源の中には基準ピッチが437Hz程度まで下げられていることもあったりします。
常に440Hzで演奏するギタリストであれば特に問題はないのですが基準ピッチを変更する可能性がある場合には、基準ピッチの変更に対応したチューナーを買っておいたほうが無難です。
◇画面の見やすさ、見た目
個人的にチューナーを選ぶ上で非常に大事だと思っているのが「画面の見やすさ」「分かりやすさ」です。
最近のチューナーはオシャレなものも増えてきていますが画面の挙動がお洒落すぎて「音程を上げれば良いのか下げれば良いのか直感的に分からない・・・」という製品もあったりします。
そのため意外に無骨で昔ながらのデザインのチューナーのほうがチューニングがしやすいと感じる人もいると思います。
ただチューナーはボードを彩るアイテムの1つでもありますので、画面の見やすさよりもデザインや見栄えを優先するという考え方でも良いと思います。
◇起動時間の早さ
最近の機能が豊富なチューナーの中には起動するまでに若干のタイムラグがある機種があります。
タイムラグといっても1秒前後くらいの僅かな差なのですが、チューナーの電源ボタンを押してペグに手をかけた時点で「チューナーが起動していない・・・」という機種もあったりするので、起動が早いチューナーに慣れている人にとっては起動時間の僅かな遅れであってもストレスになることもあると思います。
◇バッファの音質、トゥルーバイパスにできるか等
前記のとおりペダルチューナーは機種によってバッファを通した時の音質が結構違います。(チューナーに限らずペダル型の機材はバッファによって音質が大きく変わってしまうので無視できない要素です。)
バッファによる音の変化を気にする方は試奏するかYoutubeなどで事前に音の変化を確認しておいたほうが良いと思います。
またチューナー画面をオフにした時にバッファもオフに設定できるタイプのペダルチューナーを選ぶと、バッファが好みに合わなかった場合にも音作りの幅を広げることができます。
◇ミュート機能の有無、切り替えの可否
ペダルチューナーは基本的にチューナーをオンにするとミュートされるタイプの機種が多いですが、ミュート機能のないペダルチューナーや、ミュートをしないように設定できるタイプのチューナーもあるので、ご自身の演奏スタイルなどに合ったものを選ぶと良いです。
たとえばBOSSの「TU-3S」というチューナーはフットスイッチが省略されているためミュート機能も付いていないので注意が必要です。
◇電源(電池駆動が可能か、アダプター等が必要か)
クリップチューナーは基本的に電池駆動ですが、ペダルチューナーは電池駆動に対応していないものもあり、アダプターやパワーサプライが必要な機種もあるので注意が必要です。
前置きが長くなりましたがお勧めのチューナーをいくつか紹介したいと思います。
◆おすすめのクリップチューナー
◇TC ELECTRONIC「POLYTUNE CLIP」「UNITUNE CLIP」
プロ・アマ問わず、最近一番人気があると思われるクリップチューナーがtc electronic「POLYTUNE CLIP」と「UNITUNE CLIP」です。
クリップチューナーについては「迷ったらコレを買っておけ」と言われることも多く、最近では定番のチューナーです。
「POLYTUNE CLIP」のほうはギターの全ての開放弦を鳴らすとチューニングのズレている弦を赤い表示で教えてくれます。
そのため
全ての開放弦を鳴らす
↓
ズレている弦だけをチューニングする
という順番でチューニングすることで素速くチューニングをすることができる「ポリフォニック・チューニング」が売りということになっています。
ただズレた弦だけチューニングした後にギター全体のテンションの関係で他の弦も微妙にチューニングがズレることもあるため、個人的には1弦ずつチューニングしたほうが楽だなと思うことが多く、「ポリフォニック・チューニング」の機能は結局使わなくなってしまいました。
私の周りの人でも「ポリフォニック・チューニング」の機能は使っていないという人は結構います。
「ポリフォニック・チューニング」を使わない人にとってはポリフォニック機能を省いて価格を安くしている「UNITUNE CLIP」のほうがお勧めです。
実際に「POLYTUNE CLIP」よりも「UNITUNE CLIP」を持っている人のほうが多いという印象です
「POLYTUNE CLIP」と「UNITUNE CLIP」はどちらも「ストロボモード」を選ぶことで「+/- 0.02セント」という非常に高い精度のチューニングが可能です。
他方で「クロマチックモード」を選ぶと精度が「+/- 0.05%」になる代わりに反応が高速になります。
そのためレコーディングのためのきっちりチューニングを合わせたい場合には「ストロボモード」を使い、ライブなどで早くチューニングを終わらせたい場合には「クロマチックモード」を使う、という使い分けができます。
画面も明るくて非常に見やすいです。
「POLYTUNE CLIP」と「UNITUNE CLIP」デメリットを挙げるとすれば
・自動で電源がオフになるまでの時間が短い
・起動に若干のタイムラグがある
・電池の消耗が早い(ような気がする)
・雑に扱うと壊れやすい(ような気がする)
・クリップチューナーとしては価格がやや高い
また「POLYTUNE CLIP」と「UNITUNE CLIP」画面に傷が付きやすいようで、短期間しか使っていなくても頻繁に持ち運んでいると「使い込んだ」感じの見た目になりやすいです。
ただ総合的な性能で言えば「POLYTUNE CLIP」と「UNITUNE CLIP」はどちらもトップクラスだと思いますし、気に入らなかったとしても中古市場でのリセールバリューも高いため、何を買うか迷ったらこれを買っておけば後悔する可能性は低いと思います。
「UNITUNE CLIP」が主流になる前はPetersonの「StroboClip HD」という高性能チューナーが最強の一角というイメージでしたが、機能と価格のバランスを考えると現在ではやはり「POLYTUNE CLIP」と「UNITUNE CLIP」のほうがコスパは良いかなと思います
◇KORG ( コルグ ) 「PITCHCLIP2+」
個人的に「POLYTUNE CLIP」よりも使用頻度が高いのがKORGの「PITCHCLIP2+」です。
「POLYTUNE CLIP」に比べると見た目も地味ですし、チューニング精度も「±0.1セント」と若干負けています。
しかし「PITCHCLIP2+」は起動時間が早くチューナーをオンにしてペグを摘まんだ時点でチューンニングできる準備が整っているのでストレスがありません。
また正直なところスタジオ練習やライブで使う場合には1曲弾いている間にもチューニングは微妙にズレて来ますので、精度は「±0.1セント」もあれば十分であることが多いです。
反応も良くて画面表示もシンプルですし精度のバランスも良いので短い時間で素速くチューニングを合わせることができます。
クリップチューナーは無くしやすいので複数持っていたほうが安心感がありますが「PITCHCLIP2+」は価格が安いので何個がまとめて買って、ギター数本のヘッドに付けておいたり、ギグバッグに入れておいたり・・・ということが可能です。
レコーディングなどで正確に合わせたい時だけペダルチューナーを使って、普段の練習時で素速く合わせたい場合には「PITCHCLIP2+」を使う、というように使い分けをすると便利かなと思います。
ちなみに「PITCHCLIP」には製品名に「+」が付かない「Pitchclip 2」という製品もあって紛らわしいのですが、「+」が付かないほうは測定精度が低めなので、個人的にはあまりお勧めしません。
(↓は「+」が付かない「Pitchclip 2」)
また同じKORGから「PitchCrow-G AW-4G」という製品が販売されていますが、こちらは背面にあるボタンが押しづらいので、個人的にはこちらもあまりお勧めしていません。
◇BOSS ( ボス ) / TU-10
BOSSの「TU-10」は正直なところ画面も見やすいとは言えず、あまり使い勝手が良いとは言えないクリップチューナーです。
しかし「TU-10」には他の製品にはないメリットがあります。
それは「壊れにくい」という点です。
最近のクリップチューナーは画面部分を回転させるように見えやすくなるように工夫された製品が多いのですが、回転部分が壊れてしまったり、摩擦が無くなってしまってクルクルと無限に回転するようになり使えなくなることもあります。
しかし「TU-10」の画面は回転せず、しかも表示領域が狭くて枠の部分が厚いので頑丈で壊れにくいです。
チューナーを落として壊してしまうことが多い人や、頻繁に入れて持ち運ぶという人は「TU-10」をギグバッグなどに1個入れておくと安心感があると思います。
◆おすすめのペダルチューナー
◇TC ELECTRONIC「Polytune 3」
ペダルチューナーもTC ELECTRONICの「Polytune」シリーズが人気です。
「Polytune 3」の特徴
精度: +/-0.02セント(非常に高い精度)
基準ピッチ変更: 432から445Hz
バッファ: トゥルー・バイパス/バッファード・バイパスの切り替え可能
ミュート機能: ミュート可能
電源: 電池 or DC9Vセンターマイナス(消費電流:>100mA)
ライブなどでギタリストやベーシストの足下を見ると「Polytune」を置いている人が増えている印象です。
前記のとおり「POLYTUNE」はギターの全ての開放弦を鳴らすとチューニングのズレている弦を赤い表示で教えてくれるため必要な弦だけを素速くチューニングをすることができるというのが売りです。
クリップ型の「POLYTUNE CLIP」よりもペダル型の「Polytune 3」のほうが「ポリフォニック・チューニング」の画面が見やすく使いやすいと感じます。
「Polytune」の第3世代(Polytune 3)から「BONAFIDE BUFFER」という高性能なバッファが搭載されています。
「BONAFIDE BUFFER」は癖が少なく比較的忠実に原音を持ち上げてくれる印象です。
「BONAFIDE BUFFER」は単体で買うと1万円程度するので、高性能なバッファが欲しいという人にとっては「バッファ+高性能なチューナー」がセットになった「Polytune 3」はお買い得感があると思います。
「Polytune 3」のデメリットを挙げるとすれば円安の影響で価格が上がってきているという点でしょうか。
ポリフォニック・チューニングに対応していて高品質なバッファが搭載されていることを考えると価格としてはコスパが良いとも言えると思いますが、ポリフォニック・チューニングやバッファ機能が不要な人にとっては価格が高いと感じるかも知れません。
ちなみに「Polytune」には小さめの 「POLYTUNE 3 MINI」という製品もありますが、こちらは基準ピッチが440Hz固定で変更できないので注意が必要です。
◇KORG ( コルグ ) 「Pitchblack X」
「Pitchblack X」の特徴
精度: ±0.1セント
基準ピッチ変更: 436Hz~445Hz
バッファ: トゥルー・バイパス/バッファード・バイパスの切り替え可能
ミュート機能: ミュート可能
電源: 電池 or DC9Vセンターマイナス(消費電流:最大28mA)
バッファの音質の良さと視認性の高さで評価が高いペダルチューナーがKORG「Pitchblack X」です。
「Pitchblack X」のバッファは内部回路をディスクリートにして電圧を14Vまで昇圧しているとのことでレンジが広く、通すだけで高音域が煌びやかな印象になります。
「音が良くなった」と感じる人が多いと思いますし、「Pitchblack X」のバッファを通すと音の分離やサスティンも良くなる印象があるので個人的には好きなサウンドです。
最近のVOXのモデリングアンプと同じ方向性のサウンドに近い感じもします。
高音域が広がると音が細くなったような印象を受けたり、耳に付くような痛さを感じる人もいるかも知れません。。
音がクリアに鳴りすぎて「痛いな」と感じる場合にはバッファをオフにすることもできます。
「Pitchblack X」は表示が大きいため視認性もかなり良くて、視力が弱い人でも立ったままチューニングをすることができると思いますし(チューニングがズレていると画面が青になり、合うと白になるので色だけで判断が可能)、屋外ステージなど明るい場所でも表示が見えにくくなるというリスクは少ないと思います。
「Pitchblack X」よりもデザインが優れた製品はあると思いますが、「Pitchblack X」はとにかく「見やすさ」「使いやすさ」を最優先にしたデザインという印象で視認性の良さはトップクラスだと思いますし、ライブ中に暴れて眼鏡がぶっ飛んでいったとしても「Pitchblack X」があればチューニング可能、という安心感があります。
後記のBOSSの「TU-3」だとちょっと見えづらくて困るという人には「Pitchblack X」は非常に良い選択肢だと思います。
「Pitchblack X」は電池でも駆動するのと消費電力が少な目なので「Polytune 3」に比べると電池が長持ちしやすいというのもメリットだと思います。
「Pitchblack X」と似たような性能を持つ製品に「Pitchblack XS」と「Pitchblack X mini」があります。
「Pitchblack XS」は画面のどの部分を踏んでもスイッチのオン・オフができるという画期的な製品で省スペースと視認性の高さを両立したモデルです。
扱いやすくて荷物にもならないので、私は最近この「Pitchblack XS」を使う場面が多いです。
若干コンパクトな分、電池を入れるスペースがありませんが、ボードを組んでいる人であればパワーサプライから電源供給すると思いますので問題はないかなと思います。
写真で見ると気づきにくいですが意外に高さがあり、踏みやすいです。
画面を踏むのは怖い感じもしますが今のところ壊れそうな気配は全くありません。
「Pitchblack XS」の画面に保護フィルムを貼りたいという人はサンワサプライ「DG-LC9 液晶保護フィルム 3.0型」がミラクルフィットします。
ミニペダルタイプの「Pitchblack X mini」は価格も低めに抑えられていますが、電池を入れるスペースがない他、バッファをオフにできないので、バッファのオン・オフを切り替えたい人は注意が必要です。
◇BOSS ( ボス ) 「TU-3W」
「TU-3W」の特徴
精度: ±1セント
基準ピッチ変更: 436Hz~445Hz
バッファ: トゥルー・バイパス/バッファード・バイパスの切り替え可能
ミュート機能: ミュート可能
電源: 電池 or DC9Vセンターマイナス(消費電流:50mA~110mA)
BOSS のペダルチューナーには「TU-2」「TU-3」などの名器があり、プロを含めて多くのミュージシャンに使われてきました。
といよりも昔はBOSS以外にペダルチューナーの選択肢があまり無かったという事情もありました。
ただ「TU-2」や「TU-3」についてはバッファによる音の変化が「嫌い」「苦手」「BOSS っぽい音になってしまう」という人も一定割合でいて、「BOSSのバッファは音が悪い」というギタリストもいます。
他方でBOSSのバッファは中音域が充実するような印象もあり、他の楽器を合わせて鳴らすと「丁度良い音」になると感じることも多いので個人的には嫌いではありません。(・・・というか普通に好きです。)
前記の「Pitchblack X」のバッファだと「高音域が華やかになり過ぎる」と感じる人はBOSSのチューナーのほうが相性が良いかも知れません。
しかも最近のBOSSのエフェクターのバッファは改良されてきており特に「TU-3W」のバッファの音質は個人的には良いと思っています。
「TU-3W」はバッファのオン・オフを切り替えることができるため、バッファの音が気に入らなければ演奏時にバッファを通さないようにすることもできます。
ちなみに「W」の付かない「TU-3」のほうはバッファをオフにすることができずチューナーをオフにしている時もバッファを通した音になるため注意が必要です。
チューナアウト端子のあるスイッチャーなどを持っている人であればフットスイッチの無いBOSS「TU-3S」もお勧めです。
「TU-3S」はフットスイッチを無くす代わりにサイズをコンパクトにしたという画期的な製品で、ボードをコンパクトにまとめたい時には重宝します。
「TU-3S」を入れてボードを組んでる人は全てを悟りきったようなベテラン・玄人ギタリストが多い印象です。
フットスイッチが無いためミュート機能は付いていませんのでその点は注意が必要です。
なお、BOSSのペダルチューナーの「針」のようにスムーズに動いていく表示は昔ながらのチューナーに慣れている人であれば分かりやすいと思いますが、視力が弱い人にとっては「見えにくい」と感じることもあるかも知れません。
視力が弱い人は前記のKORG「Pitchblack X」のほうが視認性という点では良いと思います。
◇Walrus Audio ( ウォルラスオーディオ ) 「Canvas Tuner」
「とにかく足下をお洒落にしたい」というギタリストにお勧めなのがWalrus Audioの「Canvas Tuner」です。
現在流通しているペダルチューナーの中でも最強クラスに見た目が良い製品だと思います。
「とにかく女子にモテたい!」というギタリストにお勧めです。
視認性の良い 2.8 インチ のTFT LCD ディスプレイが搭載されているだけでなく、表示画面を自分の好きなようにカスタマイズすることができ、好きな画像をアップロードして表示させることもできます。
チューナー画面を縦だけでなく横向きにすることもできるので、ボードの中の配置の自由度も高く便利です。
◆チューニングのコツ
性能の高いチューニングを持っていてもチューニングの方法などによってはチューナーの性能を十分に活かすことが出来ません。
そこで最後に正確なチューニングをするために大事なポイントをいくつか挙げておきたいと思います。
◇ギターの調整(オクターブチューニングなど)
ギターのチューニングは開放弦を鳴らして行いますが、開放弦のチューニングを合わせても上のフレットを抑えて弾いた時に音がズレているということが良くあります。
この場合、12フレットを抑えた時に開放弦の1オクターブ上の音が正確に鳴るように調整をする必要があります。
有名なメーカーのギターでも新品で販売されている時点ではオクターブチューニングがズレていることも良くありますので、一度もオクターブチューニングを合わせたことがないという人は調整をしたほうが良いです。
オクターブチューニングの方法はサウンドハウスさんなど楽器屋さんのYoutubeなどでも説明されているので道具があれば自分でもできると思いますが、一度も調整をしたことのないギターの場合にはナットやペグの状態がチューニングに悪影響を与えているケースもあったりします。
そのため楽器屋さんに一度も調整をお願いしたことがないという人は、オクターブチューニングだけでなく弦高やナットなども含めて調整を依頼したほうが安心だと思います。
「有名メーカーだけど一度も調整をしたことがないギター」よりも「安いギターだけど腕のある楽器屋さんに調整をしてもらったギター」のほうがチューニングが安定していて弾きやすい、ということもあったりします。
◇弦の状態を確認する
古くなった弦を張り替えずに使っていると弦のサビなどによりチューニングが不安定になってくることが多いです。
チューニングを安定させるためにも、弦に錆があるなと感じたら早めに交換をしましょう。
「頻繁に弦を張り替えるお金がもったいない」という人はエリクサーなどのコーティング弦を使うのもおすすめです。
コーティング弦は薄い膜で覆われているため錆びにくく弦を長持ちさせることができチューニングも安定しやすいです。
コーティング弦は1セットあたりの価格は高いですが錆びにくく張り替える頻度が減るので長い目で考えると普通の弦よりもコスパが良いです。
ちなみに、弦を交換した直後は少しずつ弦が引っ張られていって伸びていくためチューニングが安定しません。
ライブがある時は直前に弦交換をするのではなく前の日に交換をしておき十分に弦が伸びきった状態にしておくとライブ中もチューニングが安定しやすいです。
◇弦の巻き方
弦を張り替える時、弦の巻く方を失敗するとチューニングが安定しにくくなります。
私もこれまで数百回くらいは弦交換をしていますが「今回も綺麗に巻けなかったな・・・」と思うことも多いです。
ペグに弦を巻き付ける時に弦を沢山巻いてしまうとペグを回した時の音の変化が不安定になりやすくなります。
出来るだけ「弦の上にさらに弦を巻く」という方にならにように適度な量で綺麗に巻き付けてあげるとチューニングも安定しやすくなります。