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ピョンとオバケン

私が働いているところで、子どもたちにおすすめの本を紹介するべく

久しぶりに子ども向けの物語本を読むことになった。

10月はハロウィンがあるから、と思ってオバケが出てくる本を選んだ。

「ピョンとオバケン」


子どもって、なぜだかオバケの話が大好き。

怖い話を聞くと、夜のトイレがこわくなったりするのに、

おもしろ半分で聞いてみたくなる。

でも、今回このお話に出てくるオバケは底抜け明るい女の子。

ぴょんぴょん飛び回り、他のおばけにイタズラするから呼び名はピョン。

そんなピョンと一夏を過ごすことになるのは、

オバケ好きな小学4年生の男の子、オバケン。


これは、オバケらしいオバケになるための修行をするピョンと

マイペースで何事にも動じないオバケンが作り出す不思議な日常の物語。


ふつう、オバケは怖いものとして描かれるが、この本では全くこわくない。

それは、オバケが怖いのは、オバケの国の憲法上「人を怖がらせなくてはいけない」という決まりがあるからだということになっている。

だから、人間がいない場所ではオバケたちが皆、愉快。


ここからは少しネタバレになってしまうが、この本の愛すべき所は

何と言っても登場人物たちのキャラクター。

オバケンや、オバケンの親友、おばあちゃん、ピョン、オバケたち...

みんな素直で正義感があり、そしてとにかく人思いだ。

しかし、それとは対に、一人だけ嘘つきで弱いものいじめをする、

オバケンのクラスメイト ”オガケン” が登場する。

だがそんな彼にも良心があり、オガケンの体の中に住みつく悪者のせいで

オガケンは意地悪をしてしまうという設定がまた素敵である。


久しぶりに児童向けの本でわくわくするような気持ちになれた一冊だ。



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