「私はあなたを抱きしめる」
ロシア軍によるウクライナへの本格的な軍事侵攻が始まって2年半以上が経過した。
その間、スーダンで政変が起き、シリア・トルコで大地震が発生、リビアでは大洪水。パレスチナではイスラエルの攻撃で暮らしの全てが破壊されている。
世界情勢が混沌とする中、私の中でウクライナでの戦争が霞んでいることに気がつき自らの忘却に慄いた。
そうした中、ルーマニアのユニセフで働く根井麻未さんから「施設が閉鎖されそうだ」と連絡をもらった。未だ空爆が続くウクライナ東部地域などから母子や子どもたちだけで避難した人たちの支援施設が資金不足で閉鎖しそうだというのだ。
現地に飛んだ。
110名の避難者が暮らすブカレスト市内のテイ難民センターで3人の娘と暮らすスベタさんに出会った。
涙を流し彼女は語り続けた。核の使用に怯え、戦闘のトラウマに悩み、将来への不安で心が壊れそうになっていた。
根井さんは彼女の肩を何度も何度も抱きしめた。必要としている温かさを忘却で冷やしてはいけない。
まだ何も終わっていないのだ。
いいなと思ったら応援しよう!
頂いたお金は取材費として使わせていただきます!