血行…全身をみれば、私たちの血行は安定している(だから生きてる)と、思う。
でも、身体には、実に頻繁に、部分的、(専門用語でいうと、局所的)血行不良は、頻発している。
たとえば歯槽膿漏。
じゅくじゅくに血が出てくるから、血行がいいと思う人もいるだろうけど、そんなこたーない。
一回でも血管から漏れた血が、血管の中に入ったら、あっという間に敗血症だ。
ちぬるわ。
出血している時点で、そこはもう、血行が正常とは言えない。
血行がいいというのは、バン!と心臓から吐き出された血が、動脈から静脈を通って、心臓に戻るということなので、どっかで滞ってたら、それは血行が悪い。
血が血管からあふれて、漏出してる、なんて、ナンセンス。
もちろん!
どっかに血栓などで、血が通ってない!これまたナンセンス!
言語道断。
とはいえ、血液は、ずーーっと血管の中にだけ、いるわけではないのも確かだ。
動脈から、細動脈という細い分岐した血管、そこから毛細血管に…という風に血液は流れるのだが、
毛細血管に、動脈、静脈の区別はない。
届け先の臓器まで来たら、なんとなーく、その辺に酸素と栄養を放り出し、その辺に放ってある二酸化炭素と老廃物を拾って、なんとなーく運び出す…
そういう、割とあいまいな存在…それが毛細血管。
実のところ、血管と言いながら、管…も、もやん、とした感じで、ハッキリしない。
血管が栄養を運ぶ、酸素を運ぶといっても、ヤ●ト運輸のように、一軒一軒、細胞の玄関口まで配達してくれるという、親切なサービスではないのだ。
毛細血管はもやもや、あいまいな存在だとして、じゃあ、動脈や静脈が、安定して確かなもんかというと、そんなこたーない。
静脈瘤というものがある。
足のふくらはぎなんか、子どもの頃はそんなに青筋なんかなかったと思うが、いつの間にやら、もにゃもにゃもにゃもにゃ、青筋が出ていて、しかも、なんか表面?皮膚に近いところに出てくることがある。
で、出てきたら、これが痛いのだ。
血管って、管の周囲を神経が巻いてる作りで、非常に痛みに敏感。
皮膚近いところまで、血管が進出してきてたら、もうその辺、ピリピリ痛みに敏感になる。
それが静脈瘤。
ほんまに、皮膚より外に出てこようとしてるバージョンもある。(レーザーで日帰り除去手術をするという病院のポスター、鶴橋駅で見た。
静脈は、けっこう増殖しやすくて、「もやもや血管」というのも最近流行ってる。
たとえば指のへバーデン結節って、中高年の女性に多い病気がある。
これ、指の内部でどうなってるかというと、静脈が異常増殖しているのだ。
神経が血管の周りを取り巻いてるが、血管の増殖に連れて、神経も増殖しているもんだから、ひじょ~~~~に、痛みに敏感。痛い。
ヘバーデン結節は指が変形する病気だが、ただ変形するだけじゃなく痛い。しかし、その増殖した血管を何らかの手段(今は病院でもやもや血管の治療をしてくれるところも出てきている)で取り除くと、痛みは軽くなる、またはなくなる。
血行というのは、そういうわけで、ちーーーっとも、安定などしていない、不確かなもんである。
ある精神科のお医者さんは、メンタルの病気の原因すら、「血行不良」だと言い切っていた。
普段、意識されることもないが、血行を良くするというのは、めっちゃ大事なこと。
わたしら、鍼灸師がよく問題にしている、「コリ」も、コリの何が悪いかって、部分的血流不全状態を作るから。
背中にでっかいコリがあったら、それが少しずつ心臓の血行を圧迫する。
案外大病も、元はコリなのかもしれないのである。