かっこよくなりたい
かっこよくなりたい。
そう思うようになった。
きっかけは数年前に通った広告学校だ。
現役バリバリのトップクリエイター二人が無償で開催する、
広告業界での活躍を目指す若者支援の学校。
この二人がとにかく、かっこよかった。
大人に対して “かっこいい” と感じたのは初めてだった。
私はとある機関で特殊機械の研究開発をしている。
今や、どんな研究でも社会実装が求められる。
市場動向を調べ、競合を分析し、優位性を見つけねばならない。
本来は生徒の対象外だが熱意で入れてもらえた。
毎週月曜、仕事を早上がりして渋谷に向う。
毎回出される課題を何とか週末でこなして提出。
出来の悪さに叱られてばかりだったが、怒られたことは無かった。
改めて考えると、叱るということは凄いことだと思う。
相手に真摯に向き合う誠実さ、根気、熱量が欠かせない。
叱るためには愛がいるのだ。
唐突だが、私はパンクロックが好きである。
そう呼ばれる類の曲ではなく、パンクロックな生き様の人間の魂が乗った歌が好きだ。
一方、愛だ恋だと言う歌は好きではない。
「愛してる」という言葉に愛を感じない。
先生は「君達のためを思うからこそ・・」などとは言わなかった。
前置き無しで、ガツンときた。
でも、恨めしく思ったり、嫌気が指したりしたことは一度も無い。
もっとこの人達から学びたいと思った。
今はその理由が分かる。
先生達が、かっこよかったからだ。
講義を通じて、先生の真摯な想いを、私は確かに感じ取っていた。
だから前置きはいらなかった。
愛は言葉ではなく、生き様であり、かっこよさだと学んだ。
私は今年、中学校で探求の授業を受け持っている。
課題解決のための創造力&想像力を育てる事を目的として、
生徒に防災ポスターを作ってもらう試みだ。
二人に触発され、私も若者の役に立ちたくなったのだ。
何分、初めての事で常に手探り状態だが、
やり始めてからずっと感じていることがある。
「これは役立つよ」といくら言葉を重ねても、生徒には伝わらないという確信だ。
そんな時、先生から言われたことを思い出す。
「かっこいいと思うことをしろ。かっこ悪いヤツのことなんか、誰も聞かない。」
世界課題の総集編のようなSDGsだが、
かっこいい人が増えれば、課題だらけの未来も変えていける気がする。
かっこよさは人の心を励起できる、そう信じている。
生き様から愛が伝わるくらい、私もかっこよくなりたい。
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