読書レビュー_#02_夜と霧

精神科医である著者が、ナチスの強制収容所での人間の感情・思考について記した書籍。以前から名著であることは認識していたが、未だ読んではいなかった。

慎泰俊さんのSpotifyラジオで、人生ベストのひとつとして紹介されていて、電子書籍で購入し、読み始めた。

収容所の非人道的行為、過酷さ、残虐さについては、僕が論じるまでもない。この書籍においても、その事実をこと更に強調することはなく、むしろ淡々とした筆致で述べていくに過ぎない。

著者が書籍を通じて述べようとしているのは、「行為そのもの」ではなく、「行為によって人間がどう考え、行動したか」である。

尊厳、自由、意思、愛、希望、あらゆる光を奪われた人間がどう振る舞うか。極限状態での人間の本質について深く洞察していく。

「どんな環境、境遇にあっても、その事実をどう捉えるか。その思考は何人たりとも犯すことはできない。その人固有の絶対不可侵の自由が存続する」

この本質的自由は、収容所のような極限状態でなくとも、各々の人生で同じことが言える。

「人生に幸も不幸もない。その人がどう捉えるかだけだ」誰かの格言でこんな言葉があったと記憶しているが、同じことだよね。

自分の捉え方、思考、信念次第で、同じ物事でも全く意味合いが異なる。あらゆる場面でプラスにもマイナスにもなる得る。しかも、その思考や信念は、ループすることでさらに強化される。人生という長い時間を経過すれば、その結果は天と地ほどに広がるだろう。もちろん単純な成功・失敗の話でなくね。

これからどんな境遇となろうとも、僕の信念・考えは誰にも変えることはできない。その自由が死ぬまで守られる限り、僕は僕であり続けることができる。消えない炎に気づかせてくれた名著であった。

自由を壊すことはできない。私が生きている限り。

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