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【エッセイ】この冬、私はどこにいたのだ?

この冬、何かが足らないとずっと感じていた。

今日仕事をしている最中に、突然思い当たった。

チャイだ。

この冬、一杯もチャイを飲んでいない。

ゼロだ。

これはトルコに住んでいながらトルコに住んでいないことに等しい。

それほどの大事件だ。

この大事件に今日まで気づいていなかったとは!

お前はどうかしている。

誰がなんと言おうと、トルコと言えばチャイだ。

そして、チャイは飲み物ではなく体験だ。

本来、私は大がつくほどのコーヒー派だ。

ここトルコでも一人でカフェに入って飲むなら間違いなくコーヒーだ。

トルコ・コーヒーを飲むこともある。

しかし、

スタッフたちとおいしいアダナ・ケバブでランチした後に…

トルコ人との商談で、次に繰り出す最強の一手を考えながら…

ボスポラス海峡を渡るフェリーで海を眺めながら…

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世界一おいしい(自分調べ)トルコのスイーツ「キュネフェ(カイマック載せ)」のお供に…

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パザールで買い物をしながら、「出前チャイ」を一杯ひっかけて…

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こんなトルコの人々、景色、料理、スイーツに触れ合いながら、語り合いながらの一杯は、絶対にチャイなのだ。

トルコの人たちとチャイを飲むことが、トルコにいるということなのだ。

コーヒーなんかどこでも飲める。

そんなチャイを一杯も飲んでいない冬。

寒さに震えながら、湯気をたてた熱々のチャイを飲んだ時のあの喜びを感じていない冬。

トルコの人たちと触れ合っていない冬。

すなわち、トルコにいながらトルコにいなかった冬。

この冬、私はどこにいたのだ???

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Eito
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