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真冬の箱根(0℃)は走れるのか??!
箱根駅伝で青山学院大学の大会新記録更新に世間が沸いた大会数日前に、箱根でサイクリングしてきた。有名な観光地だし、何度か行きたいと思っていたもののその機会に恵まれなかった。
つい最近始めたランニング。ふと、箱根ランナーたちが登る峠がどんなものなのか体験したくなって、仲間を募った。
そもそもコース設定前に気になった
冬に走れるのか?
よくTVで「箱根に雪が降って車がスタックしてます」みたいなニュースを見たことがある。車はSUBARUの四駆でスタッドレス履いてるので心配ないが、ロードバイクでは落車してしまう。当日の天気予報は最高気温8℃最低-1℃で、1週間前から雨・雪は降っていない。近隣の富士市に住んでいる自転車仲間に確認したら、「よくそこら辺走ってるよ、大丈夫」と教えてくれた。これが決め手になり、一応冬季閉鎖になっている道を確認した。
結論、全く問題なく走れた。
ただ一度雨が降ってしまうと凍結が危なそうな道はいくつかあったので、もし走ろうと思ってる人がいたら十分気を付けて欲しい。
●コースプロフィール
約80km 獲得標高2,000m(Stravaはバグで標高多め)
登りと下りしかほぼない。中級者〜向けコースだろう。
山梨からスタートするには箱根まで行ってしまうより御殿場から登り始めた方が近い。足柄SAの近くに駐車した。(アウトレットもすぐそばにあるので、渋滞には気を付けたい。)
年末の忙しい時期に集まってくれたのは、接骨院を営むN氏と地方市役所で働くA君。3人で箱根の旅路を進んでいく。
スタートから5分ほど走ると直ぐにヒルクライムが始まる。乙女峠だ。なんでもその昔、とめさんという女性が父親の病を治すために仙石原から御殿場のお寺まで百日間願掛けに通い、病が治ったが百日目に死んでしまった伝説から名付けられたらしい。
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頂上から大きな富士山が見ることができ、「富士見三峠」の1つでもある。(残りは御坂峠と薩埵峠。) 車通りは多いが道幅は狭くなく、勾配も緩いので登りやすい峠だった。
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A君は私に付いてきて、目がキマッていた。おニューのヘルメットでテンション高め。カヴェンデッシュのTDF35勝記念モデルだ。この日は3人ともLIMARのAIR ATLASでお揃いだった。
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仙石原にダウンヒルして、芦ノ湖へと向かう。途中にはあたり一面のすすき草原が広がる。ハイキングをしても気持ちが良さそうだなと、走りながら自然を感じていた。見慣れない風景を楽しむサイクリングが私は好きだ。
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Google Mapで行きたいポイントを保存して、数珠つなぎのように作った今回のコース。この景色を見て、次の目的地へとワクワクしたのを覚えている。
仙石原を下ると湖が見えてきた。芦ノ湖だ。パッと見、甲府から精進湖に降りてきた雰囲気と似ていた。初めて走る道は、あの道に似てるなあと普段から感じてしまうのは私だけだろうか?
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芦ノ湖は火山活動によってできたカルデラ湖だ。箱根神社や遊覧船、ロープウェイと見所はたくさん。しかし、あまり寄り道しすぎると日が暮れてしまうのでほとりで写真撮影だけした。
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南北に細長く、自転車と歩行者が通れる湖沿いの道(神社通り)があったので、いざその道に入ると伊豆のようなアップダウンと意外に歩行者が多くて走りづらかった。他の観光客に迷惑にならないスピードで走らざるおえないが、こういうストレスが起きるのも旅の醍醐味かもしれない。
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箱根神社を通り過ぎて国道1号線に合流すると、この通り眺めがいい。わざわざ一眼レフカメラを背負ってきた甲斐があるというものだ。 冷たく強い風で、波が揺れる様子が捉えられている。寒いので、そそくさと次へ向かう一同。
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神奈川県道732号線沿いには寄りたいお店がある。箱根甘酒茶屋さんだ。江戸時代にタイムスリップしたかのようなこの茶屋さんは、400年以上の歴史を持つ観光スポット。当時のレシピを守り続けていて、砂糖不使用で米の甘みが感じられる。甘酒好きなのだが、他のお店とは違う美味しさがある。
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お正月気分を先取りするお餅をつまみながら、畳の座敷部屋で男3人、井戸端会議。甘酒は体が温まる。普段はカフェにいくことが多いが、箱根らしさを五感で感じるにはここがいい。
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再出発して、七曲りの九十九折りを下る。車が並んでしまっていたので、写真撮影は遠慮した。逆ルートも楽しそうだ。
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箱根湯本駅近くまでたどり着くと、ちょうど小田急ロマンスカーが停まっていた。東京から直接来られるのは良い場所だ。駅前には観光客がごった返していた。あまりの混雑さに立ち寄ることは諦めて、今日のメインディッシュ箱根峠を攻めていく。多くの人を魅了する箱根駅伝の主役といっても過言ではないこの道は一体どんなものか。
街中を過ぎると、駅伝でお馴染みの函嶺洞門が左手に見える。中国王宮をモチーフにしているとのこと。歴史を知ってから建造物を見ると、これまた感慨深い。
その後も勾配がキツイ区間はほとんどなく、川沿いでひんやりとした空気の中を走っていく。景色が少し明るくなってきたと思ったら、太平台のヘアピンコーナーが現れた。駅伝選手たちが給水するポイントだ。ここからの厳しい勾配を考えると仲間が渡してくれるボトルの力は大きいだろう。
小涌谷駅周辺は激坂が集中している。背中に望遠レンズをつけたカメラを背負ってせいもあって、中々進まない。ダンシングをするたびにカメラがズレて、自転車用のカメラストラップが欲しくなった。唸りながら急勾配を進んでいく。
箱根駅伝ではこの後芦ノ湖へ下るのだが、私たちは更に登る。強羅を過ぎたら下湯バス停の近くから県道733号線へ入るルートをstravaでひいていた。しかし、その道はオフロード?私道?で実際は通れなかった。
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海がかなり下に見え、遠くまで来た。引き返すのは勿体無いので、行く予定はしていなかった大涌谷へ急遽向かうことにした。
大涌谷までの1km区間は車が大渋滞。なんと駐車場まで1時間かかるそうだ。全く動く気配が無いクルマの脇を進んでいく。一度並んでしまったら引き返せないので、もしまた行くならロープウェイを利用したいと思った。
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さあ、ようやく大涌谷(標高1,040m)まで登ってきた。A君と2人で先に到着し、N氏を待つ。噴気がそこらかしこで見られて、硫黄の匂い。開けた風景。そして振り返れば富士山。一度は行くべきと言っても過言ではない。
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外は強風すぎるし、寒すぎるし、N氏がまだこないのでお土産屋さんに避難しようとした。しかし、中に入ると満員電車のような大混雑。こんな山の上にエグい人数。中にはいられず、ウロウロしていたらN氏が到着した。
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合流したところで、さっさと芦ノ湖へ下山。たまごを食べる余裕さえない寒さだからだ。長時間登ったわりに下山はあっという間。それもそのはず、芦ノ湖の標高は723mだ。標高差はあまり無い。
時刻は13:30。最後に食べたのが甘酒茶屋での餅だったから、流石にお腹が空いた。昼食場所を探してたら、良い感じのお店を発見。
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芦ノ湖を眺めながら落ち着いた雰囲気。観光地価格で少し高かったし、現金が使えないなどの小さな問題もあるが、この場所とゆっくり流れる時間はプライスレスだろう。
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ここではオーストリア料理のシュニッツェルをいただいた。トンカツやフライドチキンみたいな見た目だが、揚げ焼きしていて脂っこくはない。レモンをかけて食べると美味しい。
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ドイツ旅行で食べたことがあるN氏は、現地の味が再現されていると語っていた。そんな話を聞いていると、この店と相まって海外に来た気分だ。
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食べ終えて、仙石原ー乙女峠と来た道を引き返し、御殿場へと帰ってきた。この日は夜にチームの忘年会を企画していたので、本当は足柄SAの温泉にでも浸かって冷えた体を温めたかったが、どこにも寄らずに帰宅した。以上が箱根サイクリングの全貌だ。