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壺は壺でも壺じゃなく

有吉佐和子さんの『青い壺』
この壺は砧青磁の【経管きょうかん】だという

経管、初めて聞く言葉だ

青い壺ってこういう壺じゃないの?

今は調べるために本屋へ立ち読みに行かなくていい
(たいてい調べ物は本屋で立ち読みしてた)

とても便利になった

本を傍らに置きネットで検索する


なんと普段【切立きったて】とか投入なげいれの筒と呼んでる
筒型花器のことだった


っちゅうことで
ちょうど青磁の切立も持ってるし
ちょうど切立で一番技術が必要な稽古があったので
本日はこの経管もしくは切立にいける、を
伝授しようでは、あぁ~りませんか


経管と啓翁桜

この水色っぽい色が青磁

すとーんとまっすぐなのが
経管、もしくは切立という形の花器

物語ではシンプルだからこそ難しい器
姿がとてもいい、って設定だったんだろうね

んで、こういう形だから
ぐさー、と挿すとどうにもこうにも
器も植物もじゃきーとたったまま
表情もなにもない味も素っ気もない

物語の中でもある奥様がこの器に
はなをいけるのに四苦八苦するシーンがある

ここまで撮影してお弟子さんを待つ

どれを使いましょうか?

へなうさ工房は南向き掃き出し窓がついてる

朝日がいっぱいに入って真冬でも明るくぽかぽかだ

お弟子さんが来たので
「一回しかできないからしっかり見ててね」
と見本をやってみせる

まずこんな感じ

口元を見よ!

さらに仕掛けをしてこうする

植物だけでこのようにできる

お弟子さんは
「こんなことしてたんですね」
「これは教えてもらわないと分からない」
とひたすらに感心

いけばなは立体造形だからいろんな角度から見る

流れを止めてるところに手を入れる

どこが違うかお分かり?

ぐんぐんカッチョよくなるべ

次は器の口元

写真だと分かりにくいんだけど
水をずっぱり(岩手弁でたっぷり)入れると
口元がきゅっと締まる
ますますカッチョよくなるべ

これはカンタン、
今すぐできる技でござるな

もう1本足しまして

これもまた手を加える

ごちゃごちゃぐちゃぐちゃ入れずとも
いや、却ってこれだけの方が
緊張感マシマシで強烈にカッチョええべ
いさぎいいべ



ところでこの経管
なぜそう呼ばれるかがこの物語の最後の最後に出てくる

「本当に、見れば見るほど美しい壺ですわねえ。あなた、この形は経管でしたか、経筒きょうづつでしたか」
「どう言ってもいいんだ。お経を納める容器に似ているから、そう呼ばれているんだが、日本だけだよ、そう言うのは」

有吉佐和子『青い壺 第十三話』』

思わず「へー」と声が出ちゃった

「彫りもないし、耳も飾りもついてないのが、却って上品で、よろしゅうございますわねえ」

有吉佐和子『青い壺 第十三話』

そこでこのように褒められる

そうなんだよね

いろいろと装飾がついてたりはなが大量に入ると
それに頼ってごまかされて腕がなくても
【なんとなく】いい感じに見えちゃうんだよね


たかが壺、されど壺

この本はとても面白く読めたのでした まる




いけばな教室 西宮市🐰
へなうさ工房:甲子園球場そば
090-8214-8739
8739sshuho(@)gmail.com

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