花蓮の夏についての話
ここ数日楽しみにしていた映画、『花蓮の夏』を観に行った。DVDも持ってるし話も全部知ってるけど、4K修復版と聞いて飛びついた。好き過ぎて一時スチール写真を待ち受けにしてましたから(ガチ)。あの名作を、スクリーンで観られるとは!
1番好きなタイトルは『盛夏光年』。英語名の『ETERNAL SUMMER』もいいけど、この作品を知った当初検索をかけたら音楽等のいろいろな作品が引っかかったので、やっぱり『盛夏光年』だな、と。
基本的にあまりネタバレ的な書き方はしないタイプではありますが、万が一ということもありますので、まだ内容知りたくないよ〜って方は(あれ? ダジャレ?)、閲覧をお控えくださいませ。
それでは、意気揚々と語ります!
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『花蓮の夏』というタイトルについては、映画を知った当初から「どうなの?」という声があるのは結構聞こえていました。「夏」は原題にも入っているし、青春なんだけど、やっぱりこの作品は「夏」なんですよ。主人公たちは大学に進学した段階で花蓮を離れているようなので(ですよね?)、「花蓮」はどうなのかと思いましたが、このタイトルを聞いて、この作品の聖地巡礼に「花蓮」という場所に行ってみたくなったので、そういった、なんだろう、街のプロモーションっていうんですかね、そういう意味では効果があるなと。随分前にネットで花蓮に行かれた方の記事を読んだことがあるのですが、本当に中国語しか通じないみたいですね。英語とか、日本語ちょっととか、そういうのは当時はなかったそうです。でも花蓮って確か、個性的なスタバができませんでしたっけ? 行ってみたいなと思って記事を見た時にスクショした気がするんですけど、見つからなかった……(残念)。
何回観ても思うんですけど、青春の、思春期の、その辺のことを語ろうとすると、全部「春」がついてくる、というのは一旦置いておいて、作品の持つ、情熱的な、夏の熱さ(暑さではなく)の残り香的なものを感じ、観ようと思うといつもじんわりその熱さが肌に染み込んでくるんですけどね、冷静になるといつも感じるのが、「ショウヘン、ウザいな」です(笑)。ずーっとついてきて、あれこれ首突っ込んできて、親友なんだから隠し事はなし、なんて言って、ジェンシンに対してかなり束縛野郎。そのくせ自分とホイジャの関係は言えないでいるっていう展開に、「おーい!」と突っ込まずにはいられませんでした(笑)。かなり自己中ですよね。勉強するって言ってるのにしつこく遊びに誘ったり。それが後半で明らかになる彼の寂しさみたいなものからきているわけなんだけど、何度見ても「そうだった、ショウヘンがウザいんだった」と改めてパンチを食らいます(笑)。
今まで、多分家事をしながら流し見をしていたので気づかなかったと思われる、「どうしてショウヘンとホイジャが付き合うようになったのか」にようやく気づけました。出会った時は親友にちょっかいを出してくる女だと思ったけれど、一緒に喫茶店に入ったりして、ちょっと喋ったりして、多分ショウヘンはバスケとジェンシンに一生懸命で、女の子に対する免疫みたいなのがなかったんです。それで、急に手に届く距離に現れた女の子に心を奪われる、というような流れだと勝手に完結しました。バスケの試合の後、1人で見にきていたホイジャが「失恋したばかりなの」と言った時、ショウヘンはその相手がジェンシンだと気づいたか。泣いてるからってチューしようとしてましたよね? その後もしてたし! ホイジャはそれでいいのか! 寂しさを埋めようとしているのか? くたびれた大人の女みたいだな、とか思ってしまった(汗)。ジェンシンとはどうやって親しくなったのか訊いていたから、気づいているのはいるのか。
というか、やっぱり毒なのはホイジャなんですよ。ジェンシンが好きで、ジェンシンがショウヘンを好きって気づきながらショウヘンと付き合うんですよ? お前、俺のこと好きだったよな? 一緒にホテルに行ったよな? なんなら俺の心の叫びに気づいてたよな? で、付き合うか? ショウヘンと? やっぱり映画館で集中してみると考察が広がりますね! ホイジャはホイジャで、ジェンシンが初恋で、振られた直後に自分を思って積極的にきてくれる人がいるっていうのは救いだった。くたびれた女みたいとか言っておいて恐縮ですが(苦笑)。大学に合格したらね、なんてちょっと意地悪を言ってみるけど、多分ショウヘンならがんばるだろうなってことも見越しているんですよね。だから複雑なのはジェンシンですよ。え、俺の好きな人だってわかってるよね? 確かに秘密は守ると言ってくれたけど、だからって付き合っちゃうのはどうなの? これはちょっと、自分がジェンシンだったらホイジャとは友だち付き合いは続けられないですね〜。ホイジャはいまだにジェンシンに未練がありそうだし、ジェンシンもホイジャの気持ちが自分に残っていそうなことも気づいていそうですが、でも、付き合われちゃったらなぁ〜。複雑です。
ここからあとは、ちょっと雑多に書いていきますね。
この映画で好きなところというか、印象的なのは、ショウヘンが迎えにきて呼ぶ「カン・ジェンシーン!」。朝から元気いっぱいで、ショウヘンの性格がすごく出ている。
自転車の2人乗りも青春ですよね。日本では禁止されてますけど。これもお気に入りの映画、『藍色夏恋』もそうでしたが、夏、恋、自転車、って相性いいですよね。大好きです。ちなみにショウヘン役のジョセフ・チャンさんって、『藍色夏恋』の主役候補だったらしいですよ。やはり夏の青春と縁があるみたいですね。
2人乗りの自転車が、大学生になると原付に変わっていく。ショウヘンが事故を起こして迎えにきた時の、ジェンシンが「鍵」ってノールックで手を伸ばすところがなんか好きなんですよね。あんなこと言っちゃったけど、そのせいで事故ったんだろうなぁとか思いつつもごめんって言えないし、心配させやがって、でも無事でよかった、みたいないろんな気持ちが、あの伸ばした手にこもってる感じが好きなんです。
私がこの映画を好きなのは、私自身が学生時代、優等生的な問題児だったから、優等生と扱われるジェンシンの気持ちも、問題児と扱われるショウヘンの気持ちも共感できるんです。私の場合、ショウヘンのように人気者になれるような一芸には秀でていなくて、周囲とうまくやれないまま過ぎ去っていった学生時代でしたが(遠い目)。
ショウヘンのお母さんのジェンシンへの気の遣い方も、なんだか切ないんですよね。お母さんは「友だちになってくれている子」に対して、申し訳なさと、友だちがいれば息子は大丈夫という期待も持っていて、それが大きくなってもずっと一緒にいてくれている。だからすごく大きな感謝の気持ちで、おかずを取ってあげちゃったりして。DVDの未公開シーンに、ジェンシンのお父さんが「ショウヘンと仲良くするな」みたいなことを言って怒っているシーンがあった気がするんですけど、それを観ると、「おい、親父!」と言ってやりたくなる(苦笑)。あんたの息子はやさしい子だから頼まれたとはいえクラスメイトを放って置けなかったんだよ。私も、学級委員をやったりするようなやさしいしっかり者に仲間に入れてもらう人生だったから、ショウヘンの気持ちはわかるんです。ショウヘンも、先生に頼まれて仲良くしてくれてるってことにはずっと気づいていたから、後ろめたさってあったと思うんです。私の場合は、直接頼まれはしていなかったと思うけれど、仲良くなるように固められたというか。だから、気持ちは対等じゃないんですよ。仲良くしてくれているんだな、やさしいから余り者は放っておけないんだなって。そういう引け目って、なかなか消えないんですよね。
未公開シーンで思い出したんですけど、私が「ノールックの鍵」と張るくらい好きなのが、ジェンシンがエスカレーターを、上までウィーンと上がってきたと思ったらそのまままた下りていってしまう、同じところを行ったり来たりしているシーンがあって、これは、私も経験あるんで共感しまくりでした。なんかね、目的地まで行くのが嫌になってしまうというか。その目的地が直接の原因の根源でなくても、なんだか憂鬱で同じところをぐるぐると回ってしまう。わかるんですよね〜、その気持ち。
ジョセフさんとレイさんについては最近の活躍も拝見しているので、若いなぁ、と。特にレイさんは、なかなかゴツく……いえ、たくましく成長しましたよね(言い方大事)。SNSでお猫さまとの戯れを見ているので、すっかり大人になったなぁ、と。ジョセフさんはグレッグ・ハンさんの映画に出てましたし、お2人とも今もお元気そうでうれしい限りです。
こんな下世話なことを言ってしまうのもなんなのだけど、ジェンシンとホイジャのホテルのシーン。おそらく2人とも初めてだろうに、初めてとは思えない仕方……。ちょっと慣れすぎてないか? とツッコんでしまいました(笑)。
この映画を最初に観た時、中国語のセリフに英語の字幕がついていて、中国語はもちろんわからないし英語も得意じゃないけどなんとなく気になって都度一時停止して訳しながら観ていたんですけど、途中から、そんなことしなくてもなんかわかるような気になって気づけば最後まで見ていました。そこから即DVDゲットです。このすぐ後になるのか、レイは『サマーズ・テイル』という作品に出演しているのですが、それに出演しているディーン・藤岡さんを見て、「日本人でもがんばればブライアン(当時の芸名)と共演できるんだ!」とディーンさんを羨むというおそらく世間とは逆の感情を抱いていました。ちなみに『サマーズ・テイル』の推しシーンは、ディーンさん演じるアキラが、大事なサッカーボールの空気を抜かれてしまった時の、なんとも言えない切なげな表情です。
映画を観ながら、ところどころ中国語が聞き取れることがうれしくて、また勉強したいなぁと。そうか、モチベが下がったら台湾映画を見たらいいんですね! 私の所有してる映画のDVD、ほとんどが台湾映画なので……(ニヤリ)。
他、なにか書き残したことはないかしら。思い出したら追記します。
素敵な時間でした、今からDVD見返したいくらい(笑)。