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A Space for the Unbound 心に咲く花 -悲しみは尽きることはないけれど-

https://store.steampowered.com/app/1201270/A_Space_for_the_Unbound/

■1人用
■横スクロールアドベンチャー(ごりごりのシナリオ系)
■9時間
■Steam、switch、xbox、Epic、PS5・4

多分このヘッダーのイラストに見覚えがある人も多いと思うタイトル。
インドネシアのインディーズ開発チームがつくった作品で、めちゃくちゃ青春もの(そして”いわゆるセカイ系”)を読みたいやりたい味わいたい!っておもったらやるように置いてあったものをやりました。

綺麗な絵、綺麗だけど、どことなくノスタルジックで懐かしい

ごりっごりのシナリオ・ビジュアル重視のタイトルなので全体的にネタバレなし。貼ってるキャプチャもネタバレなし。
それゆえ薄目の感想っぽく見えますが、普通に「はー。。。良・・・」ってじんわりする作品でした。




明日世界が滅ぶとして(ストーリー)

書いてる人がゴリゴリにセカイ系コンテンツが爆発的な人気を得た時代のエンタメで育ってきたのもあって滅茶苦茶肌になじんだ。
セカイ系っていうのは、いわゆる閉鎖的な人間関係(例えば私と親と友人と学校や親せき、近所の悪ガキ仲間たちとかの”子供的”な社会の狭さ)そういうコミュニティの中で抱えている問題を世界崩壊など大きな課題として表現したコンテンツ……よく言われるのはエヴァとか、エウレカとか。

この作品もそういうセカイ系の流れを汲んでいる作品で、夏の日差しが降り注ぐ学び舎、色濃く落ちる影と白くてまぶしい制服…そういう日本人にもなじみ深い「青春の薫り」がする。

主人公のアトマは、恋人のラヤと進路希望調査をすっぽかして「やりたいことリスト」を埋めるために町へ繰り出すことになる。

可愛いしかないわけ


恋人と、時間が惜しいと言わんばかりに次から次へと思い出を作っていく、けれどその隙間に「あれ?」と思うような不思議な出来事がはさまれていく。
例えば、死んでしまったはずの父親が生きていて、その違和感も一瞬ののちに忘れてしまっていたり。
自分が死ぬ夢を見たり。

とにかくやることが全部かわいいわけ(老婆心)

やがてその小さな違和感は徐々に大きくなっていき、世界を滅ぼす大嵐へと変貌していく…そういう中で思春期のかわいいかわいい2人が何をかかえ、何を見つけていくのか、それがこのタイトルの主題です。

け、けしてアトマとラヤがいちゃいちゃしているのを見てニチャニチャするゲームではない


横スクロール&コマンド&タイミング合わせゲーム


格ゲー筐体もあります

基本的な操作はGBAの横スクロールゲームを想像してもらうのがいいのかなと思うんですが、マップがあって、奥に行くのに↑入力を、手前に行くのに↓入力をする、会話する、ちょっとしたミニゲームをする、みたいな感じの操作。
PCだとWASDじゃなくて十字キーとFが基本操作でちょっと一瞬操作に不慣れが出る感じなのでそこだけ注意かも。(注意ってほどでもないかもですが。ただとっさに方向入力するときに手に不器用がでる)

この…右のところを↑入力で進む感じ、わかりますかね…?!
そしてこれは町のネコチャンに名前を付けているアトマ

軽い戦闘みたいなのもあるんですが、時間以内にキー入力してねorゲージの緑の部分に重なったタイミングで決定ボタンを押そう!みたいなかんじ。

あとはそれ以外だと結構同じところウロウロしたりおつかいで往復したりとかあるのでその辺の操作がまどろっこしく感じる(端的に言えば眠くなる・飽きる)ところはあるかなって思うんですけど、まあでもこういうゲームを手にした時点である程度シナリオとおつかいでテンポは二の次かな、って思ってたのであんまり気にならず。

むしろこういうゲームだからこそじっくり町の中を歩き回ったりして人々や街並みに愛着を覚えていくのが重視されてるなって思いました。
そういう意味でも個人的にはswitchでやるのにちょうどいい感じだなって

(というか直前に和階堂真の事件簿やってたのである程度慣れてた…久しぶりにこういう横スクロールのシナリオ超重視アドベンチャーやったんですけど本当に眠くなる瞬間がありますね)


画面の暗転で自分が映り込む演出あって笑った
いやまあめっちゃわかる
キモイ顔してるんですよね、この瞬間の自分



美しいグラフィック


この…わかりますかね、陽射しガンガンの夏感

最近のインディーズはGBAくらいの精密なドット絵が主流ですが、これも本当に空気の質感を感じられるドット表現が素晴らしい

建物の影とかすごい良い
なんか最近こういう心象世界表現のあるゲーム滅茶苦茶やってるきがする
この背景の宇宙のきれいさ、ぜひ本編で見てほしい

ネタバレになっちゃうので撮ってないのですが、光に照らされた雲や、建物の表現が素晴らしい。
ちょっとじめっとして埃っぽくもあって、だけど熱を持った空気感がすごいつたわってくる。(そしてだから宇宙空間みたいな冷たい場所に来るとソワソワとする)

謎の食い物を頼む子供
辛そうなのはわかる

バリエーションもパターンも色々あるし、そもそもドットのアニメーションもすごいある。
なんか画面がずっとなんか動いていて、ドットだけど情報量が多くできてて素晴らしいなと思うなどしていました。
もちろんドット数が多い=繊細な表現ができるんですが、なんて言うか色の選択?影のつけ方?アニメーションの取捨選択?が素晴らしかったな、と思います。

ジュブナイル

ペルソナ5が爆売れして以来なんだかメジャーな言葉になったような気がするこれ。
子供から大人に、大人がさらにまた一つ大人になることは世界が崩壊するかのような衝撃と痛みを伴う事なんだ、とはどこかでみたセリフだし私自身そう感じることも多くあるんですが。

そういう青春時代、大人になる瞬間、それまでの考え方では通用しないことに出会って痛みを抱えたとき、そういうときにどうやって前に進むのか、成長するのか、あるいは停滞するのか。
実はそういうティーン…ジュブナイルって大人になってからも自分を強くしたり繰り返していくものだと思うんですよね

だから青春のこういう作品で少年少女たちが成長してく様って言うのは大人にも刺さるし、大人だってジュブナイルしたっていいじゃない?と思うわけです。

だからいくつになってもセカイ系と言われる作品たちが扱うテーマの身近さが大好きだなあと、クリアした後に思い返しました。
なんとなく最近心に引っかかっていることがあったり自分のことがあんまり好きじゃなかったり、そういうささくれがある人はきっと終わった後「ああ…」と感嘆を漏らすと思います。
美しいドットをみるだけでもぜひぜひ



超余談ですが、この作品を制作されたチームがcoffeetalkの制作会社に買収されたとか。
次回作以降タッグ作品が見れそうで、そちらも超絶楽しみです


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