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さびれた居酒屋とプレイリスト
コロナ前のほんの少し前。
新社会人になった1年前、2019年の夏。
東京の品川。
全国から集まった同期達との研修終わり、
大人数での飲み会を終え、心知れた同期2人と飲むことに。
この2人と一緒にいると、とてつもなく心地がいい。
当時の私からしたら2個~3個上の彼らは、
お兄さん、お姉さんに見えて、
年の差もあるかもしれないが、
なんか落ち着きのオーラを放っていた。
お兄さんは、すごく優しい人相・オーラなのに
放たれる毒はなかなかに強い。
そのギャップが魅力的だった
お姉さんは、もう”The優しい”。
しっかりものだけど、全てを許容する分、
周りに私を含む変わり者が集まりがちな気がする。
そして、お姉さん自体ももれなく変わっていた。
(そんな彼女は1年後、学生時代から付き合っていた日本の北と南で遠距離恋愛していた彼に、コスパが悪いから結婚しよう。と理由で、
逆プロポーズに成功し、幸せに暮らしているそうだ。)
そんな、変わり者メンバーで入った店は、
品川のすたれたビルの地下のある一軒の焼き鳥屋さん。
店内は煙でもっくもく。赤ちょうちんがぶらさがっていた。
3人は、満場一致でここにしようと決めた。
結局、小汚いお店が落ち着くのだ。
とりあえず、ビールと焼きとりを注文し席に着いた。
そして、”茄子の煮びたし”
さいこうにおっさんだね~って笑いあう
あの時間が愛おしかった。
社会人三か月目、環境の変化などを
やっと乗り越えた疲労に、この時間は本当にしみた。
乾杯後に、恋愛のこと、
仕事のこと、生活のこと。
げらげら笑いながら、話した。
そこで、ふと、お兄さんは一言。
「二人ともいつもどんな曲聞いてんの?見せあおうよ」
そして、お互いの聞いている曲を聴きあう会に。
「これ私も好き!知ってる」
「これスキなら絶対この人も好きだよ」
「この人知ってる人周りにおらんかった、
お前しかおらんわ」
とか
本当に何気ない会話だけど、
この二人は特別だなあって感じた。
年に数回会えるかどうか、
暮らしてる場所年齢も違う。
縁あって同期になって、
仕事以外でも彼らと"つながる点"があって、、
純粋に嬉しかったのだ。
プレイリストは、その人の全てが
詰まっているような気がする。
調子のいい時に聞く曲、
悪い時に聞く曲、
その時々に入れた曲があって、
明るい曲もあれば暗い曲もある、普通の曲もある。
その人の感じ方、飾らない
その人のそのままが入ってる
だからこそ、すごく神聖なものだと
自分は感じている
ずっと仲良しの人でも、
意外と何の曲が好きでとかって
知らないことが多い。
いや知らないことが普通なのかもしれない
そのすべてを共有できたことは
人見知りの自分にとっては
すごく大きなことで、衝撃的で、
同時にこの縁を自分なりに
大切にしていきたいなと思った
会った回数じゃない
連絡をずっと取り続けることじゃない
あげたりもらったりの関係じゃない
ただ元気で幸せでいてくれたらいい
私は仕事もやめてしまい、引き続き
3人とも国内各地に散らばっているが、
またいつか、おいしいお酒を片手に、
お互いのプレイリストを見せあえたらと思う、
何度思い返しても笑顔になる思い出を
胸に今日も私はビールを飲みほした。