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rei92x
あのときを、永遠にして
あの日、あたしたちは青春してた。
高校の卒業記念にと、お小遣いをためてやってきたディズニーランド。
ユウコのスカートはシンデレラカラーで、リカはミニーのカチューシャをつけて。あたしの爪もプリンセスみたいに光ってる。
受験のストレスを晴らすように、あたしたちは夢の国を駆け回った。ビックマウンテンの歓声が、卒業式にあたしを振ったサイアクな男の名前をかき消す。担任の口癖で笑い転げて。あたしたち、間違いなく高校三年生だった。
*
「パレード、場所取りしなきゃ」
夜に向かう空を見上げると、シンデレラ城が夕日に染まっていた。他のアトラクションも、輪郭の影だけを残して徐々に姿を変えていく。
終わるんだ。
ずっと続くと思っていた今日を、飲み込むようなうつくしい夕焼けだった。永遠ではいられない時を閉じこめたいのに。
先を歩く二人に「待ってよ」って言えなくて、あたしの鼻の奥をツンとさせる願いだけが通り過ぎていった。