『埴輪の馬』1986小沼 丹 の読書感想文
丹は埴輪の馬が欲しくなった。
随筆集。表題作は20ページほど。
話の軸は、移り変わる町の姿。
この本はタイトルだけだが、考古関連の書籍は、中身にあまり埴輪の出番がなくても、表紙には埴輪の写真やイラストが使われていることが多い。
やはり人目をひくからだろう。
もっとも、表題作になった理由は埴輪という言葉の引力だけではないだろう。
他の収録作品が少し重たいので、ほどよい軽さコミカルさが際立つ。
本来の丹のキャラクターもよくうかがえる。
弘光寺の近くの町に工房をもつ「埴輪造りの名人」というのは誰のことだろう。
『村長さん』こと井伏鱒二がこの名人の話を録音したそうだが。
そういえば持っている本の中に埴輪のつくり方を載せているものがあった。(埴輪本『原始日本の再発見 3 古墳とはにわ』)
あの本に出ていた人がそうかもしれない。
ちょっと調査。
そのようです。
聖徳工芸の庁鼻和窯初代窯元の会田野生さんのことらしい。
(埴輪本『歴史読本 昭和51年9月号 特集はにわの謎と古代人』)
となると、この話は埼玉県深谷市あたりの話ということになる。
今でも沢庵が名産なのだろうか。
『ただ何となく』欲しかった埴輪の馬は無事手に入ったらしいですが、今どこにいるんでしょう。
注:見出し画像は東京国立博物館の平成館の考古展示室の埴輪たち。丹の埴輪じゃありません。
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『埴輪の馬』
著者/小沼 丹
出版年/ 1986年初版
出版社/講談社
ちなみに、この本をきっかけに小沼丹の作品をいくつか読みました。
文章がとにかくうまい。そして随筆の終わり方がかっこいい。おすすめ。
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以上、『埴輪のとなり』掲載のページを修正し再掲しました。
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