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赤とんぼの空

子供の頃、近所のはらっぱには自分の背丈せたけより高いススキがたくさん生えていました。

原っぱのススキや草をかきわけて奥まで歩いていく
草を押し倒して寝転ねころがると真っ青な空。

赤とんぼの群れが飛んでいた。
青い空を行ったり来たり。

こんなにたくさんどこから来たんだろう
そう思うほど飛んでいた。

私は母に教わったとんぼのつかまえ方をためしてみた。
片腕を伸ばして人差し指を空に突き出す。

とんぼが休みに来て止まるから、
人差し指に親指をかるくすべらせてとんぼのあしはさめばとれる。

「う~ん・・・・・指に止まりすらしない・・・・・」
あの時はちっとも捕まえられなかった。

あれから何年も経って、ずいぶん年をとりました。
今の自分なら母の方法でとんぼがとれるかもしれない。

でも残念なことに近所に原っぱは無くなってしまいました。
空は遠くなって、赤とんぼもいなくなりました。

なぜだろう、背の低い子供の頃の方が空は近くて青かったのに。
赤とんぼに手が届くほどいっぱい飛んでいたのに。


思い出すのはもう手に入らないものばかりになりました。


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