エンシア=脱脂粉乳(?)

余りにもの不味さ、ゲロ不味さに、(○○ッ!)。ピッタリカンカン。瞬時に当てはまる味がある。わたしにとって「エンシア」だ。亡父が残した1本を、飲んだ途端に、ドンピシャとなった。

エンシア。正式には「エンシア・H」。経腸栄養材である。病院ではお馴染みだけど、どうもいまいち、イメージがねぇ。思う御仁は、ドラッグストアでご確認を。「メイバランス」。明治が出してるものの親戚版(?)です。

いつものようにお見舞にゆく。暫し雑談。「ご飯は?ちゃんと食べてる?」「うん、完食」ベットで答える。よく見ると、円(つぶ)らで可愛いお目々をしていた。手術で垂れた瞼の腫れが引いたので、ちゃんとした目が分かるようになったのだ。但し、小さいが。

(ん?)備えつけの棚を見ると、大量にエンシアが残されている。栄養補助剤として毎食、出されているから、学校給食の牛乳か、わたしが通園していた幼稚園で毎日、出ていたマミーみたいだ。

口に合わぬか?それとも病の進行故(ゆえ)なのか?結構、残っている。喉が渇いていた。「飲んでいい?」「うん」棚に手を伸ばし、1本を取る。味はコーヒー。蓋を開け、一口。

(!!)飲んだ事ないけど、瞬時に分かった。脱脂粉乳の味がする。これは脱脂粉乳だ。終戦直後に子供の栄養の為、配給されたミルクである。戦後と共に育ちがあったわたしの親世代は、嫌というほど飲んでいる。

ゲロ不味・第2の脱脂粉乳(?)エンシアに改め思う。幾ら患者の栄養、経腸と頭にあっても、あんなにゲロでは飲む気も失せる。もう少し普通のゼリーやヨーグルトみたいにならないものだろうか?父が他界してからかなり経つので、今は違うのかも知れないが。

兎にも角にも、時代を超えて瞬時に理解した味・脱脂粉乳。エンシアを通じてでございます。

○灰色の 戦後と給食 エンシアに 昔還(かえ)すも 病床の父<短歌 なかむら>



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