80歳のセンパイと暮らす。(18)
センパイと朝の散歩。
昨日、近所の蓮池がきれいらしいよ、と話したら「明日早起きして行こう」と言われた。
昨日は深夜に帰宅し、眠かったけど、目覚めもかけずにちゃんと起きた。
センパイも起きていた。
「あら、起きたのね」
やっぱり、この人、起こすつもりはなかったのね。
これがセンパイ。
新しい家が出来たね、とか言いながらゆっくり歩いて10分弱。
だいぶ終わりかけていたけど、まだまだきれいに咲いていた。
学校に行く前の小学生や通勤途中のお姉さん、犬の散歩の人たちが吸い寄せられるように立ち止まり、写真を撮ったりしている。
昔からある、住宅街のオアシス。
センパイと私もそれに加わる。
「今日はカワセミがいないわね」
数年前までセンパイには早朝散歩仲間がいて、この辺りまでよく来ていた。仲間たちとは今も仲良くしているが、散歩には行かなくなった。
70になる前にはジムに行っていた。
80になる前には毎朝散歩に行っていた。
今は週に何度か歩いて買い物に行くくらい。
歩みはかなりゆっくりになった。
無理せずに出来ることが、変わってくるのだ。
さりげないスライド、見極めが、センパイは上手いと思う。
歩く速さがわかるから、たまには一緒に散歩もいいね、センパイ。