80代のセンパイと暮らす。(34)
今年もセンパイと無事に新しい年を迎えられたことが、何よりめでたい!
諸事情から、この数ヶ月、私はほぼ毎日家に引きこもって書きものをしている。年明けすぐに締め切りが迫っており、年末年始はない。大掃除も紅白もおせち料理もない。箱根駅伝も初詣もない、、、にするつもりだったが、センパイは今朝行きたい素ぶりをちらりと見せた。自分から行きたいとは言わないのがセンパイだ。無言で私に委ねるのがセンパイらしい。うーん、わかったよ!
「駅伝、見に行こうか?」と言うと、センパイはいそいそと準備を始めた。ほら、やっぱり行きたかったのね。
我が家から駅伝を間近で見られるポイントまでは歩いて15分くらい。早い準備のおかげで、いつもより早く着いて、センパイは日なたのベストポジションをキープした。隣に並んだ知らないおばちゃんと、「大東文化のコ、転んじゃってかわいそうだったわよね〜」とか言いながらキャッキャと応援。うん、やはり来てよかったのだ。
駅伝が終わると、近くの神社へと歩いて初詣というのが、いつもの流れ。去年は終わってから熱海に行ったので、2年ぶりとなった。そして、びっくりした。歩く速度が、ものすごく遅くなっている。体感的には2年前の倍くらい時間がかかった。80代になるってこういうことなのか、と改めて気づかされた。
確かにこの1年で、耳もだいぶ聞こえなくなった。テレビの音が聞こえてないのか、内容がわかってないことも増えた。お互いにその日の出来事を話し合うのが、センパイと私の食卓での時間だけど、通じないことが出てきて、最近少し危うさを感じている。ああ、やはりセンパイと一緒に出来ないことが少しずつ増えてくるのか。いつまでも同じと思っちゃいけないのだ。
センパイは
「ゆっくりだけど、歩いた方がいいし、歩けるのよ」
とがんばった。そして家に帰ると
「来年も歩けるかしら」
と呟いた。
「ゆっくりでもがんばりましょ」
と私。
少しでも、今年は駅伝見に行かなくていいやと思った自分を恥じた。今年も一緒に歩いて行けて、本当に良かったよ、センパイ。また来年も行こうね!絶対連れ出すよ!
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