【読書感想文】裸でも生きる ~25歳女性起業家の号泣戦記~
オフィスで座った際に横の方が持っているトートバッグがMOTHER HOUSEという刻印がされていたブランドで、色合いと形がふと目にとまったのでいいですね〜と声をかけてみた。
声をかけた方に、MOTHER HOUSEは約20年以上前に設立された(2006年3月9日設立)のアパレル会社で新興国バングラディシュでの製造・日本での販売という販路を開拓した会社ということと、創業者が女性でパワフルな方だと教えてもらった。
創業者の山口絵里子さんは情熱大陸にも出演されており、工業大学→慶應義塾大学→ワシントンの国際機関→最貧国であったバングラディシュに単身で乗り込み、バングラディシュの大学院で修了されるというユニークな経歴に俄然興味が湧いたため、年末年始の空いた時間で創業者の生い立ちから、バングラディシュでの起業を綴った本を読んでみた。
本書は三部作になっているそうで、『裸でも生きる ~25歳女性起業家の号泣戦記~』の一部作目をまずは読んでみた。文体は読みやすく1時間程度で読了したのだが、中身は濃密でタイトルにある通り、創業者の山口さんがとにかく困難にぶち当たって泣くシーンが本当に多くて、読みながら何でそこまで頑張るの?!と思わず呟いてしまいそうになるぐらいハードな創業者戦記でした(なぜ日記ではなく戦記なのかは読了して納得)。
独立して起業や企業内での新しい事業を立ち上げるということ(私は後者の経験ありというか、今も四苦八苦しながら拡大に向けて日々踠いている)には一筋縄ではいかないことが多々あるのだが、そこに鞄の製造を開発途上国(当時バングラディシュはストライキ・デモ・停電が多発していた)で始めるという無理難題を挑戦するバイタリティーは凄まじい。
おそらく投資家にこんなビジネスモデルをやりたいからお金出して!といっても一蹴されるようなビジネスプランと思うが、本書にはそんな下りは一切でてこない。あくまでも山口さんの課題・問題意識と行動力によって少しづつ、少しづつビジネスが拡大していく姿を追うことができる。
あくまでも2006年当時の話で現在はどうなんだろうと思い、会社HPや決算公告を簡単に見てみたのだが、現在は鞄だけではなくジュエリーやメンズのアパレルまで取り扱っており、日本には30店舗弱に加えて、香港・台湾・シンガポールの海外店舗まで展開されており順調に拡大されている様子。まだ非上場のため決算公告ベースだが、当期純利益が確保されおり経営者としても素晴らしい。2019年・2020年度はコロナの影響により利益が急減しているがちゃんと黒字をしているあたりが、新興国の貧困を解消することとビジネスとして成立されることを両立できていることの証であり、本当に尊敬できる方だなと思う。
週末に2部・3部と読んでみよう
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