学ぶことは「爆弾で壊せそうな壁」を増やすこと!?
あっ!爆弾で壊せそうな壁!
みなさんは、街で「あっ!この壁、爆弾で壊せそう!」と思ったことはないでしょうか?
何を言ってるのかわからない・・・という人は普段ゲームをしない人だと思います。
子供の頃から、「ゼルダの伝説」などのRPGに親しんでいる人は、
「ゲームの中の行動」が現実世界でも「できるかな?」と思ってしまいます。
それが「爆弾で壊せそうな壁」です。
ゲームの世界の話
爆弾で壊せそうっぽさとはなにか?
「爆弾で壊せそうな壁」の「爆弾で壊せそうっぽさ」とは何かを説明するのに、生態心理学やデザインの世界で使われる
「アフォーダンス」と「シグニファイア」という概念があります
ちょっと小難しい話になりますが、ゲーマーなら「あー!あれのこと!」となる話です。
例えば「ゲームの世界の壁」を例にします。
ゲームの世界では、現実世界とは違い「壁」にいろんなことができます。
この「壁に対して取ることのできる可能性」のことを「アフォーダンス」、
いろんなアフォーダンスから何をしたらいいかの手がかりとなるヒントを「シグニファイア」と呼び、
「爆弾で壊せそうな感じ」は「シグニファイア」である、と言えます。
「爆弾で壊せそうな壁」がどうして「爆弾で壊せそう」と感じさせる(シグニファイア)のかというと、たとえば、以下のようなヒントです。
壁の色が他のところとちょっと違っている
壁の色がちょっと違っているところが通路っぽい
壁にすこし亀裂が入っている
マップ全体から考えたら、この先にも奥行きがあるはず
近くに爆弾草が生えている(注:ゲームによっては爆弾は生えていることがある)
こういう、ひとつひとつのゲームデザインがプレーヤーに「この壁爆弾で壊せそうだな」と予感させています。
まだピンとこない人は、こちらの記事で大人がキャイキャイしてるのを見るとちょっと想像できるんじゃないかと思います。
ゲームの世界観で「学び」を考える
現実世界もおんなじことあるよね
ここまではゲームの世界で「壁を爆弾で壊す」なんていう、非日常の行動の話でした。
でも、現実でもおなじようなシチュエーションはたくさんあります。
たとえば、「スマホを持っている」ことで、日常にいろんな「アフォーダンス」が追加されます。
「学習」も「爆弾」とおなじ
もちろんアフォーダンスが増えるのは、アイテムを手に入れることだけじゃありません。
たとえば、知識や経験。
プログラミングの技術を学び、「こんな簡単にアプリって作れるんだ!」「AIってこんなこともできるんだ!」という学んだとしましょう。
そうすると、日頃の「めんどくさ〜」と思っている仕事も
「アプリを作って効率化できるかもしれないな」、
「AIに作業をさせてみたらはやく終わるかもしれないな」という、
「業務に対する」アフォーダンスが追加されることになります。
「爆弾」は「映え」のためでなく
「新しいことを学ぶ」と「選択肢が増える」というのは、考えてみれば当たり前のことです。
でも、爆弾を手に入れても「この壁は爆弾で壊せそう!」とピンとくる能力(シグニファイアを見つける能力)はまた別です。
もちろん「この爆弾はこういう場面で使えるよ」というのも学習できます。ゲームによってはチュートリアルで丁寧にわかりやすく説明してくれます。
ですが、「こういうマップの地形だからこの辺に爆弾で壊せそうな壁があってもよさそう」とか、
「この壁は爆弾じゃなくてハンマーで壊す方がコスパがいい」とか、
「このへんは爆弾の入手が簡単だから、遠慮なく使っちゃおう」とか、
「爆弾で壊せそうな壁を見つけたけど、ボス戦が近いから温存のためにスルーしよう」とか、
そういうゲームの流れの中での「爆弾の使い方」は、試行錯誤の中で自分で学びとらないといけないですよね。
経験をひたすら積み上げてこそ、シグニファイアを見つける能力は磨かれます。
まとめ
つまり、ゲームにおいて「爆弾をゲットすること」と「爆弾を使いこなすこと」が違うように、
「学習して知識を得ること」と「知識を使いこなすこと」はまったく別で、
試行錯誤するしかないですね!
つまり、「学ぶこと」は「爆弾をゲット」するだけで終わらず、
「爆弾で壊せそうな壁」を見つけ出せるようになること、
そして、試行錯誤を経て、「爆弾で壊すべき壁」かどうかを判断できるようになることまで含めて「学ぶこと」なんじゃないかなと思っています。
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