たなか たすく

1984〜2009年 半導体全盛期から凋落まで デバイス開発に従事。 退職後、経営学修士・博士課程で日本の半導体 の盛衰の背景を考えた。 その後 半導体素材企業で経営に携わりながら研究を続けた。 現在は一線を退き知見を整理中。 専門は経営(史)学と半導体高密度実装技術。

たなか たすく

1984〜2009年 半導体全盛期から凋落まで デバイス開発に従事。 退職後、経営学修士・博士課程で日本の半導体 の盛衰の背景を考えた。 その後 半導体素材企業で経営に携わりながら研究を続けた。 現在は一線を退き知見を整理中。 専門は経営(史)学と半導体高密度実装技術。

最近の記事

今一度「日本半導体凋落の真因を考察」⑤~日米半導体協定とは・・この不平等条協定は半導体事業を安定化させ経営者に楽をさせた?!              

デバイスメーカーが享受したメリットとは?                カルテルだから当然だが・・・ 管理された秩序ある販売価格 デバイスメーカーから報告される製造原価・コスト報告に基づき、アメリカからダンピングの疑いをかけられない適正価格が設定されたため、過度の価格競争による価格下落が生じず、比較的安定した利益が確保できた。 管理された秩序ある設備投資 1984年の256kDRAM量産投資で見られたような過剰投資競争は、ダンピングにつながるため、秩序ある投資が行われたため

    • 今一度「日本半導体凋落の真因を考察」④~まず先行研究を調べてみた【1】~研究から導かれた通説とは?

      四半世紀にわたって非常に多くの研究がなされてきた 1990年代半ばから4半世紀にわたって、大変多くの研究がなされ報告されている。 以下のような「通説」に収束しつつあるようだ。 ・経営者の能力(投資戦略、マーケティング、タイムリーな判断)不足。 ・国の産業政策の失敗。(各種コンソーシアム他) ・日米半導体協定により逸した多額の利益。 ・半導体の主要ユーザーであった日本の家電産業の衰退。 ・過剰品質体質 ・横並び体質 等々。 どれも当時の実際のデータやインタビューに基づき当時の

      • 今一度「日本半導体凋落の真因を考察」②~なぜ真因が重要か?今更そんな議論は必要か?~

        なぜ、今頃になって四半世紀前に終了した日米半導体協定を論じているのか? 新たに日本の半導体産業を成長・拡大させようとする時、それをリードする当事者が持つべき意識が異なってくる。 従来から言われてきた設備投資判断やポートフォリオ転換戦略、グローバル化の失敗を原因とするとマーケティングや経営戦略に長けた経営者のもとで、先行するTSMCを追いかけて追いつき追い越せに注力していくことになると思われる。 しかし今回の仮説が正しいとすると、 私は、差別化を発想する力、実現するちから

        • 今一度「日本半導体凋落の真因を考察」③~日米半導体協定とは・・・あり得ない不平等条約~日米修好通商条約以来?

          日米半導体協定とは日米修好通商条約以来と言われた現在ではあり得ない不平等条約 日米半導体協定のポイントは ①ダンピング防止 ②外国産半導体の日本市場シェアを20%に」引き上げる であった。 ①はFMV(Fair Market Value)制度と及ばれるアメリカが一貫して推進してきた市場経済では通常考えられない仕組み :日本の半導体デバイスメーカーが四半期ごとに原価を提出し、アメリカ政府が販売の最低価格(FMV)を通知し日本企業はこの価格を下回る販売ができない制度。この期間

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          今一度「日本半導体凋落の真因を考察」①~新仮説:史上最大の官製カルテル~

          新〖仮〗説 史上最大の官製カルテル(日米半導体協定)により経営者も技術者も正常な成長を阻害され、国際競争力を失った仮説が正しければ  カルテル=強力な横並び体制がもたらすのは 以下の現在の閉塞状況につながる要因です。 10年に亘るカルテルで日本のデバイスメーカーが失ったもの ・生存競争能力 ・差別化による競争優位獲得と、モノポリー進行による企業の強化能力です。 これらの能力喪失ゆえに、四半世紀にわたり日本の半導体デバイス産業の地盤沈下は続いたと考えます。 経営史研究者;元

          今一度「日本半導体凋落の真因を考察」①~新仮説:史上最大の官製カルテル~