見出し画像

《記録》2020/5 にちようびのアトリエat zoomをふりかえる①


 予定していたこどもたちとのアトリエを中止にしたのは4月。「なにか別の方法はないかな…」と思いめぐらしていたところ、友人がオンラインでのアトリエを提案してくれた。
 今までできていたことができなくなるのは、不安も戸惑いも生む。できないことの方が目につくだろう。けれど、そこからぽーんと飛んでみれば、壁の向こう側が見えたりするものだ。まずは、やってみよう。やってみてから考えよう。それは、大切な友人と、こどもたちから教わってきたこと。

 いつもはアトリエのこどもたちの様子を記録するのですが、今回は初めての試みということもあり、自分自身の心の動きの記録となりました。

りんごの絵



-----1. 道具と材料/準備をすること

 「何かをつくるには、道具と材料がないと!」と今までのわたしは思っていた。通常のアトリエでは、こどもたちが来る前に、道具と材料の準備/テーブルのセッティング/汚れを防ぐシート貼り等を行う。
 でも今回は、そんな準備作業をすっ飛ばして、それぞれの手元にあるものだけでやるしかない。どんなことなら、誰の家でも、誰でもできるだろう。どんなものなら、簡単に、でも楽しい気持ちでできるだろう。いろんな思い込みを取っ払って、思いめぐらすところからすでにわくわくが始まっている。「困った!」って状況は、やっぱり可能性なのだ。


-----2. たいせつなもの

 とはいえ、わたしが興味があったのは、<実際に会ってやる>ことと<会わないでやる>ことにどんな違いがあるのか、ということだった。
 もちろん、生身のものに勝るものはない。演劇然り、音楽然り、絵画然り。でも、それをわかった上で、会わないでも触れられる、<たいせつなもの>があるんじゃないか。むしろ、会うことに慣れすぎて、<たいせつなもの>が見えなくなってるんじゃないか。すこしばかり見えなくなっていた<それ>を知るために、わたしはzoomを試してみたくなった。
 当たり前すぎて、意識していないところ。そこをじっと、みつめてみよう。


-----3. じゃあ、何をする?

 参加してくれるこどもたちが決まったところで、何をやるかを考えはじめた。事前に行った甥っ子とのzoomでは、ただ絵を描くだけでは飽きてしまったので(あたりまえだ)、運動を加えてみることにした。…となるとハサミかな。描いた絵を切り取り、絵に層をつくって、再構成する。これなら、絵を描く過程に動きが出てくるだろう。
 テーマは、「行きたいところの絵を描く」に決めた。絵の中でなら、どこにだって誰とだって、行けるから。前の記録でも書いた、想像力の話。それを、こどもたちにも伝えたかった。

 まず、自分の絵を描く。
 そして、いっしょに行きたい誰かを描く。
 (ひとりだっていいし、相手は人間でなくたっていい。)
 じゃあみんなで、どこへ行きたいか。
 そして、そこにはなにがある?

 描いて、切り取って、貼り付けていく。
 これなら、紙と、鉛筆と、ハサミがあればできる!

画像2


-----4. それぞれの背景

 参加してくれたこどもたちには、それぞれの背景がある。今回のzoomでほぼ初めて出会う子、いっしょに絵を描いたことが1度でもある子、何年も教室に通ってくれていた子等。こどもがどんな目でわたしをみつめてくれているのかは、複数で「何かをいっしょにする」ときには考えておきたい視線だった。

 年齢も年長〜小学校4年生までと幅広かった。人数も、一組・二組・三組と回ごとにそれぞれ(最大三組まで)。複数の場合は、こども同士・保護者同士が横のつながりがあると、わたしからの一方通行のやり取りになることがないので、雰囲気もずいぶん変わる。
 事前に、材料や道具の準備、こどもの近くにいていただき、何かあればサポートしてもらうことをお願いした。


-----5. こどもたちがリラックスするまで

 集まって何かをするとき、まず、こどもたちにリラックスしてもらうところからわたしははじめる。幼稚園帰り、学校帰り。習い事を楽しみに来る子もいれば、疲れていたり、むしゃくしゃしてる子だっている。それを一回吐き出してから、製作にうつる。そこに1時間以上かかってしまうことだってあるのだ。

 でも今回の場合は、こどもたちがいる場がお家だったこと、そして隣に保護者の方がいてくれたこともあって、こども自身が切り替えをする必要がなかったし、何よりこどもたちの顔がとってもリラックスしていたのだ。なーんだ、家だとみんなこんな表情からはじめられるんだ!それは、外の顔しか知らなかったわたしには発見でもあった。
 今は、友達の顔を見れるだけでも嬉しいこと。だから、友達と会えて、いつもとちょっと違うことができる、それだけでみんなご機嫌な様子。緩んでいて、のびのびしてて、そんな時間のはじまり。

 もちろん、休みが長期化し、<ダラダラしてる>とも取れるかもしれないけれど、まあ、今はそういうのは置いておこう。こどもがリラックスしていると、やっぱりよい加減の発想と集中が生まれる。これは今回、わたしの方が勉強させてもらった。やってるわたしの方が、ずっと肩に力が入っていた(!)のかも。
 途中、どこかの画面から鼻歌が聞こえてきた。わたしは邪魔しないように、一旦、画面から離れて、ニヤニヤしてしまった。そうそう。これぐらいの感じでいられるのがちょうどいいんだよね。

                                    ・・・ ②につづく ・・・

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?