飴を渡せるヒトにいつかなりたい
誰かに飴玉を貰ったことがありますか?
いや、貰ったことがない方はいますか?
先日、とあるイベント会場で案内係を
していた時のこと。
そういう仕事が好きな私は、次から次へと
張り切ってお客様を案内していた。
ひと波さり、ふぅ~と立ち止まったその時。
背後から「コレ良かったらどうぞ」
と一緒に会場係をしていた女性に、
飴を一つ手渡された。
その瞬間、私は何故かジーンとしてしまった。
元々、素敵だなと思っていた方から頂いた
というのもある。
しかし、日頃からお菓子の糖分はなるべく
チョコレートから摂取したいと思っている
私が、飴でどうしてそこまで?
と疑問に思った。
飴について考えた。
飴、この重すぎない軽さ。
その時に食べても、後で食べてもいい自由度。
疲れた心と体に、その小さな優しい気遣い。
仕事に集中し緊張感のある中での予想外すぎる
突然のお菓子、飴。
・遠足のバスの中でもらう飴
・おやつパーティーの飴
・レジ前のご自由にどうぞの飴
これらの飴とはまるで違った。
これがチョコだったら、もちろん嬉しいが
ポケットの中で溶けてしまう心配が出てくる。
小さなカルパスでもちょっと違う。
モグモグすることになってしまうし匂いも
気になる。
知らないお菓子も「えっ何これ?」と戸惑う。
豪華すぎても遠慮してしまう。
ほらね、飴のスマートさったらない。
飴にはお茶目感すら漂う。
それを絶妙なタイミングで渡せるその人。
好き・・・
私は良いなと思う相手に対し、
うっかり特大饅頭を贈りがち。
さり気なさとは程遠い行為だ。
だからこういう、
さり気ない気遣いや優しさを
周りに渡せる人って
余裕があって凄く素敵だなと思う。
ホッとするようなその人の優しさが
一粒の飴に感じられる。
飴一つで大袈裟な気もするが
ちょっとした事が心に沁みる時ってある。
そんな素敵な気持ちを貰ったならば
見習わずにはいられない。
早速、私は次のイベントで
バッグに飴を何個か仕込んでいく事にした。
その日はとても忙しく、座る暇もないくらいで
昼食もとれずに動き回っていた。
お腹が空いたので、合間に自分の口に飴を放り込んだ。ヨシヨシ、後は誰かに…
ぐったり疲れて帰宅。
バッグを開くと、
きれいに飴を持ち帰ってきたことに気づく。
やっちまった…
ただお腹が空いて飴を食べただけの話になっている。
やはり慣れないことを、忙しく動いてる中で
思い出すことは難しい。(人より余裕がない)
真似をしても急に素敵な人になれる訳でない事も分かっている。
それでも、そんな事を繰り返して
そのうち自分らしい一粒が
誰かに贈れるようになったら
いいなと思ってしまう。
私が人に何かを渡せるのは
まだ先かもしれないが、
この渡したい気持ちは大切にしよう。
その一粒でホッと緊張が緩む人がいるとしたら
私はとても幸せだ。
そんな事を考えながら朝の散歩をしていたら、
いつもの道に珍しくゴミが落ちていた。
拾ってみると飴のゴミだった。
なんだか可笑しくなってしまった。
今日もそんな
ささやかな笑いを見つけていく。