ゲンコツと枯れ葉
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今日も雨降り、窓の外の木の梢に枯れ葉が一枚、プラプラ、少し強い風には水平になり空中遊泳している、たくましくくっ付いているわね~と微笑ましく見つめて、かれこれ一か月近くになる。
そして今日の朝、色々生活事情を片付けてパソコン開いて、ハタッと落ちない枯れ葉一枚に目👀が行った。
やっぱりある、けど、プランプランしている、枝からは離れて居る様だわ、たった一枚丈夫な蜘蛛の糸で枝に繋ぎ留められている事が見えた。
木の梢迄飛んで来る虫はもういない、スタコラ蜘蛛は違う場所に居を構えたか、鳥にでも食べられたかは分からないが、生きていたとしても、もう巣を張り巡らす事は春迄しないだろう。
そんな枯れ葉を見つめて、又もや思い出話し老人の始まり~💀
。
良く泣く二番目の弟、いつも泣いていた様に記憶している、触ると泣く、ハイハイから壁を伝い歩く様になると泣き方が激しくなり、子守り担当の長女の私が弟を泣かせていると、いつも濡れ衣を着せられて母に怒られていた。
確かに触ると泣くから、人差し指でチョンチョンして泣かせた事は数えきれない程あったかも知れない、ビャーッギャーと泣き、自分が泣いた声に驚き又泣くといった感じなのである。
私が泣かしたと思っていた母は、いつも右手の拳のとがった所で私の頭をグリッと擦る、これがまた痛い、片目をつぶって痛い所をスリスリ撫でないと痛みが無くならない。
チョンチョンして遊んでいたのも確かなので仕方がないと思っていたが、そうではない時も沢山あり、勝手に泣いた~と心の叫びはあったかも知れない、記憶はない。
家族団らん、二番目の弟はハイハイして立ち上がり、ガラス戸のサンに捕まりゆっくり歩き出した、危ないので空かさず手を差し出して弟に触った。
次の瞬間触られた事に驚いたのかは定かではないが、ギャーギャー泣き出した、慌てて私ではない~と母を見た。
母は全てを知ったのだろう。
二番目の弟が泣いている所に近寄り
「まだ泣くか、泣いたらもっと痛い目に合うからね」
と言ったかと思う暇もなく、泣いている弟に拳のゲンコツ一発、ギャー、紫色になって泣いている。
私は茫然と見つめていた様に覚えている。
泣き止まぬ弟は三発目のゲンコツを見つめて、ヒックヒック、泣き止んだ。
身をもって知っている事から、相当痛かったのだろう、振り上げられたゲンコツはもう、絶対に欲しくなかった事は痛い程わかった。
そして私の濡れ衣がようやく晴れてヤレヤレと思ったかは覚えていない。
それから弟は滅多に泣かなくなった様な気がする、現代なら虐待になるのだろうか、悪さをしては怒られて、すばしっこいからゲンコツが届かない、色んな物が飛んで来た、火をかき混ぜるデッキや火ばさみ、金槌、一番驚いたのはフライパンが飛んで来た事である。
全部瞬発力で逃げ切った、投げる方は全部交わされて悔しい思いをしたのかもと思い、又はぶつからない様に投げていたのかも知れない。
最近二番目の弟と話す事があり、そんな事を思いながら口はお話しして心は笑い転げていた。