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折れても逞しく

 940 文字

 路肩のチョロンボ白樺、太さ10㌢にも満たない、湿り気のある雪の重みでぐんにゃり曲がっても生きている。
 蔓性の木に巻き付かれた痕跡が美しくくびれて、羨ましいわ~私も何かを巻き付ければ・・・想像してウエストキュッ、心がニタ〜♫。
 目の前をヒュッと !!! 一羽の小さき白い小鳥が・・・目にも止まらぬとはいうがそれに近い、もう何処にも見当たらない。
 低木がチラホラある、もう一度来ないかしら~シマエナガちゃん、期待を胸に秘めて佇む事5~6分程、柳の芽が膨らみ頭がポワンと白くなっている、小さな幸せ春近しが身体に染み込んで広がる心の笑顔。

 シマエナガちゃん来なかった。

 つるっつるの明るい曇り空は、東の朝日のあるあたりをほんのり桜色にしている。
 真っ白になっている車も少しの暖気で直ぐ溶ける暖かさに春を噛み締め、雪で覆われていた道路、何処迄も砂利が見える、我が愛車はボコンガッタンと砂利道の凹凸に軋みながら走っている。
 私は我儘なんだわね、春が待ち遠しくてカレンダーの数字を繰り返し見つめて数える。
 未だ1月ね、2月になったわ、3月だわ、今日は3月7日なのね、4月迄の数字を無意識に数える、人に言えない程に行く度、カレンダーの数字が消える程だわ(笑)
 圧雪された雪道は走り易く、タイヤは滑らかに回転を繰り返す、いいわね~砂利道の様に埃もたたない、加えて車の中も埃が入らないから綺麗、でも、身を切る様に寒い。
 目の前に欲しい物二つ、まるで金の斧と銀の斧だわ。
 読んだ小さき私は、やっぱり単純に金の斧の方が欲しかった、欲しい物を取ってはいけませんよ~と物語が言っている、小さき私は我儘できっと神様に怒られると思っていた。
 銀の斧より金の斧が絶対に欲しいけど、欲しい方を選んでは行けないのよと、自分に言い聞かせていた。
 長い年数過ぎてもキャハハハーッ、やっぱり金の斧でしょ、金の斧が欲しいわ。
 シマエナガちゃんが見たい、雪が溶けて緑の葉っぱを見たい、桜よ速く咲け〜と叫びたいわ。
 湿り気のある空気を吸い込み、その水分に我が我儘な心が水を吸っているスポンジとなってしまった。
 苦虫噛み潰して車を発進、右へウインカーカッチカチ、今日は曇り空マイナス一桁の気温に嬉しさギュウと抱き締める。
 
 
 
 

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