見ない振り
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呼吸がしづらい、気のせいかもと考える。
温度計は30度の所迄赤い棒が伸びている、とっぷりと夜が進行して21時半、息苦しい、夜の虫達が入って来ない様に閉めた玄関を、ソロ〜リと開けて夜の果てしない空間へ一歩、足を踏み出した。
家々の明かりが四角い、長方形、笑い声が聞こえてテレビの音が微かに聞こえて来る。
月も星も見えない、重たい雲は町の明かりを吸収して、濁ったオレンジ色が広がっている。
一際光を飛ばしている街灯、おびただしい夜の虫達、蛾が集まっている。
近代の蛾や虫達に興味をそそられ、街灯の下迄行ってみた。
大小の蛾が身体にぶつかり、肩に止まる。
鼻の上に止まられて、慌てて払い落とした、鱗粉を振りまき街灯迄飛び上がって行った。
うわっ、気持ち悪い〜と思いながら、凄過ぎる夜の虫達の乱舞を目を丸くして、此処に集まっている夜の虫達は、夜明けと共に鳥達の朝食になってしまうのね。
そう思いながらウロウロ、壁等に引っ付いている虫達を、観察していると、一台の白いトレーラが停車、人が降りて来た。
こちらに向かって歩いて来る
え〜っ・🕳️何? 何? 嫌〜 なんでこっちに来るの〜
真正面で見た訳ではない、見ない振りしながらチラッと、人相を盗み見した。
スラリとして日に焼けた中々の良い男子ではないですか~🎵🎵
「こんばんはここで何をしているんですか ?」
それはこちらの台詞、私はほんのちょっと夜を楽しんでいただけよ、邪魔しないで、なんて思っても言いません。
「どんな虫達が集まっているのか見ていたんです」
「そうなんですか・・僕はクワガタを探しに来たんですよ、あ〜いたいた」
「クワガタですか~、あらっ いるんですね~」
その後何を話したか記憶にはない、感じの良いいい男は、子供達を呼びに行き連れて来た。
「虫かご持って来なさい、クワガタいるよ」
まだ1メートルにもならない可愛い子供が、空の虫かごを持って来てクワガタに歓声をあげて喜んでいる。
可愛いわ~🎵🎶一緒に光り輝く街灯の下、蛾の鱗粉蛾舞っている下でクワガタ探し、子供のの嬉しい歓声と共に、あっと言う間にに虫かごの中には、大小の雌のクワガタが15~6匹、でも、雄がいない。
「雄がいませんね」
「そうなんですよ、きっと身体が大きいから鳥に見つかり食べられてしまっていると思うんですよ」
「そうなんですか~残念ですね」
そんな会話を子供達とキャッキャッして、楽しいひと時、もう二度とは会わないだろう、🎵イイ男と可愛い子供達、キャー楽しかった〜。
昨日の夜のひと時