見出し画像

感電す不完全ワルツ

今日も晴れやかな雨。日課である読書の時間だ。機密に悪魔が部屋の隅から隅まで満たされたから平気だったけど。てんで日めくりは星の動きになぞらえて、純潔を記すドレスみたいに真っ白だった。理に御断りをして握った刃物、甘ったるく痺れる波の花。街、不謹慎を振り回して線上は楽しい追いかけっこでいっぱいになる。全く素晴らしくはないけれど、軽快な音は汚れたショーウィンドウをそれらしく仕上げてくれる。これから週末にかけて、デパートに煮詰まるつまらない呼気を数えよう。ベッドの上にある劣情を。一際目立つ拗れた関係性を。鋏でも断ち切れぬ色の糸を。

「絶対に失礼の無いよう。だって、吹き出したら止まらないから」

眼鏡の有無により、今晩、カレーの出来栄えは左右される。ランドルト環を見張っていた係りは狡賢い。弾かれる価値観、ピアノの遺伝子を使って新興宗教も現代芸術も政治ですらも積み木の家みたく建設してみせる。お見事。取り急ぎ連絡をくれ、鳥居はマシュマロだから早くしてよね。注文の料理は洗濯槽の奈落に落ち着いたら返事して。煌めきのお陰で駅構内に蔓延するタコ焼きに似た噂がポスターを汚して歩くことをやめられた。海は攫って攫って更に攫って渡しそびれたラブレターも上映予定のコンダクター、混濁を登ってみせた写真の鮮やかさを感じて崖側は週末。0.02㎜の隔たりは向こう岸に続かない、もう終わる。

「超恋愛至上主義はかつて流行していた。今となっては時代遅れで逆に新しい」

このプールサイドは幸い地上に続いていたので、上がることができた。上履きの中にかわいく並んでいる針も、誤って存在意義を排水口に流しちゃったんだろう。狂わした予定通りに水平線はニュートラル。間違いに気付いた時点で既にここには在りえない。瞬きの隙間に迷い込んだまま。振り返る諸行無常、暴れだすタオルケット、線は遠くに広がっていく。崇め祭るための数式は負かされて打ちひしがれても、尚ここにいた。側にいた。ラッピングの魔力は偉大だったけれど、限界だ。

「懸念箇所でお譲りします。よろしく」

天使が通った後に思うこと、はらわたは電池切れで修理も利かなくて。最期はさらりと華やかに鑑みる白を作っていこう。案内標識の夢を見たままに。茹でられる蟹、齧られる鏡、流される遺書、これらは全てガチャポンだと300円均一。翻すプリーツスカートはいつのまにか羞らいを忘れてしまった。その白に騙されゆく自然の中に。肌は柔らかくて、歯は立たない。冷たくなってもおんなじ毎日が過ぎる。何がかけても成立する。事実だが認めない際立ち。それは恋だ。デパートのどこを探しても並べられていないのだ。新鮮な絶望、ドラム式が主流。口に含めばキャラメル味。

「つまらない諸行無常よ。この先も並べ替えられる生命にも波魔にも、成り立ってくれるな」

セパタクロー緊急来日決定!賑わす街路樹いうことを聞かないから。馬鹿にする文句に刺す一輪の花はカップラーメンの匂いがした。リノリウムの肉塊(100gあたり189円)は、一緒にどうですか。芸術は免れる。赦されぬ大衆は紙の上。歌は同じことを何度も何度も繰り返すだけ繰り返してる。爪先は呆れ返ってレンタル踵を返したら延滞料を取られて散々だ。満身創痍の帰り道、誰かの忘れた配偶者ももう御迎えに来ないんだろうな。何が偉大だよ。石ころより下らなくなってしまった坂道を許してほしい。うまくなれないこともあります、なんて生まれてこのかた聞いていないから!ラーメンで解決する悩みもあるけど、ビルの間に消えていく昼の月みたいに強がってみて。


避雷針は空を飛ぶ、責任は放棄される。

やけに丁寧に。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?