姉は妹の秘密の裏側に弱い
【姉は妹の秘密の裏側に弱い】
「ご主人様ー紅茶持ってきましたよー」
瑠璃はティーカップを乗せたワゴンを陽気に運んでいた。
「瑠璃、気をつけなさいよ」
私はご主人様の本棚を整理しながら、瑠璃を見ていた。
「わかったよーお姉ちゃん」
笑顔で私に手を振っていた。
「ご主人様、今日はアールグレイなのですよ。
美味しいですよー柑橘系の香りで癒されてくださいね」
瑠璃はご主人様へ紅茶を差し出す。
「いい匂いね。私も後で飲もうかしら」
私は瑠璃の方を向いて、お願いねと目を見つめた。
「どうしたの、お姉ちゃん?こっち向いて」
頭の上に?を浮かばせていた。
「…別に、なんでもないわ」
私は本棚へ向き直り整理の続きをした。
「あれ?お姉ちゃん?」
瑠璃は私の肩へ手をかけた。
「なんでもないわ、瑠璃戻りなさい。
せっかくの焼菓子もあるんでしょう?」
私の肩にある手を払った。
「まったく、朱璃お姉ちゃんたら。
後で瑠璃の紅茶も焼菓子もあげないから」
瑠璃は私の耳に冷たい声で囁いて、焼菓子を取りに厨房へ戻った。
「…っあ、瑠璃…ごめっ…」
私は本棚の整理を止め、瑠璃を追いかけた。
「朱璃お姉ちゃん、どうしたの。
何か取りに来たの?」
冷たい声で私に聞く。
「取りにじゃなく、…瑠璃、ごめんなさい。」
私は瑠璃に涙目で謝った。
「なんで謝るの?朱璃お姉ちゃん、何も悪いことしてないよ」
瑠璃は焼菓子を食器に盛り付け、ワゴンに乗せていた。
「さっきの、なんでもないは嘘なの!
瑠璃の紅茶と焼菓子を食べたいなと思っていたの!」
私は泣きながら、感情のまま瑠璃へ言葉をぶつけた。
「朱璃お姉ちゃん、やっと素直になった。
まったくいつも素直になってくれないんだから」
瑠璃は私の涙を拭ってくれた。
「ごめん、ごめんね。瑠璃…」
拭う指をつたいながらも涙が溢れていた。
「もう、お姉ちゃん。泣きすぎ!
まだご奉仕があるんだよ」
瑠璃は私の頭を撫で、いつもの声に戻った。
「そうだね、まだご奉仕あるよね。
早く瑠璃と食べれるように終わらせるよ」
私は落ち着いて、赤目をファンデーションで隠した。
「朱璃お姉ちゃん、後で紅茶に焼菓子と飲食しようね」
瑠璃は私の頬に唇を当て、ご主人様のご奉仕へ戻って行った。
【最後に】
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