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掃除途中の私の甘え

【掃除途中の私の甘え】

「瑠璃、こっち向いて」

ご主人様のお部屋を掃除しながら呼びかける。

「何?お姉ちゃん」

手を止め私の方を向く。


「私のこと好き?」

私は首を傾けて聞いた。

「言うまでもないでしょ」

瑠璃は目を逸らして言った。

「たまには言ってほしいわ瑠璃に」

私は頬を膨らまして言った。

「お姉ちゃんはわがままね」

瑠璃が詰め寄って来た。

「別にわがままでは無いわ」

顔を掃除用具の置いている方に向けた。


「仕方ない、お姉ちゃんこっち向いて」

瑠璃は両手で私を逃さないようにしてきた。

「ずっと瑠璃のこと見ているわ」

私は目だけは逸らしていた。


「まったく、朱璃お姉ちゃんたら甘えん坊さん」

瑠璃は私の耳に囁いた。

「ち、違うわ…」

顔が近づくのと、耳へ息がかかるのが恥ずかしくなった。


「朱璃お姉ちゃん、ここがどこだか分かって言っているの?」

冷静に言い寄られる。

「ご主人様の部屋だわ」

心を落ち着かせて言う。

「そう、ご主人様の部屋。

 二人の部屋じゃないのよ。言うわけないでしょ」

瑠璃に淡々と言われる。


「ごめん瑠璃、わがまま言って」

私は目をうるうるさせていた。

「涙目なんてずるいよ、朱璃お姉ちゃん。

 今はこれだけで後は部屋でしましょ」

瑠璃は私の頬に唇を当て掃除場所へ足を向ける。

「あ、ありがとう瑠璃」

照れながらお礼を言った。


「早く終わらせようね、朱璃お姉ちゃん」

瑠璃の声は明るかった。

「わかった、頑張るわ」

私は掃除の続きを始めた。


「まったく朱璃お姉ちゃんは可愛いんだから」

瑠璃は私に聞かれないように呟いていた。




【最後に】

『掃除途中の私の甘え』を読んでいただき、ありがとうございます。

・これからも500~1000文字程度のすぐ読める空想物語を書いています。

『スキ・フォロー』して楽しみにしていただけたら嬉しいです。

・「楽しかった」・「つまらなかった」など、あなたの正直な感想もコメントに書いていただけたら嬉しいです。

・古い空想物語から少しずつ『有料化』していきます。
まだあなたが読んでない空想物語がある場合お早めに読んでください。

あなたの中の一冊になれるよう応援をよろしくお願いします。


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