沈むあなたに一目惚れする人魚
【沈むあなたに一目惚れする人魚】
「ねぇ、ねぇ。…聞こえないのかしら…」
「ねぇ起きて、あなた人間なの?」
寝ている人間をツンツンして息しているか確認した。
「ん…ゲホッ、ゲホッ。ここは?」
息を吹き返した人間は咳をしながら、苦しそうに場所を聞いてきた。
「聞いてるのはこっちよ、あなた人間なの?」
私は背中をポンポンと押してあげながら、もう一度聞いた。
「そう、だけど。君は?」
人間はコクンと頷き答えた。
「初めて見る人間だわ。私は人魚よ、この姿見たらわかるでしょ」
私は感動しつつ、人間の周囲を尾ひれをひらひらさせて見せた。
「私も初めて見るよ人魚は。って、何で息ができているの?」
私を見ながら、人間は水の中にいることを実感していた。
「息が出るのは当然よ。私の一部をあなたにあげたんですもの」
腰に手を当てて、えっへんと自慢げに話した。
「どういうこと。私は、人魚になってしまうの?」
よく分からないけど、人間は不安になっていた。
「すごく少量の人魚の息を与えただけで、あなたは人間のままよ。」
納得させるよう、私がしたこと人間でいれるよう話した。
「よかった。人間のままなら安心ね」
胸に手を当てて安心していた。
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