7日後に死ぬと決めて生きてみた5日目

いざ死ぬという時は、多分夜が耽ったひとりぼっちだ。いつものビーズクッションに横たわって、照明に照らされながら目を閉じる。見えない星を掴むように手を伸ばして、指先の無を感じる。その時の感覚は、すごく鮮明にわかる。

いまだに、死ねない理由はわからない。右向け右が得意だからなのか、事実として突きつけられる僕の死に、僕と周りも理不尽や不満を感じてる絵は想像できない。各々が、僕がいないということを、噛みちぎれない肉のスジを飲み込むみたいに、喉元過ぎればなんでもない出来事になる絵しか、まだ見えない。胃から湧き上がってくる胃酸のような、禍々しい感情をあらわにする誰かは、まだ見えない。

でも、物事の先は丸まって見えるようになった。呪文はさらに魔力を増して、大体の出来事をなんでもなくしてしまう。不安も懸念もない。葛藤もない。日常で目の前に現れるボールをひたすら打ち返す。その削ぎ落とされたフォルムに少し感じる味気なさをみないふりするために、目の前を見る。

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