【実話ホラー】 パワハラ夫婦の背負うもの
ある秋の夜。
20時半頃だったろうか。
神楽坂が好きな私は、ルンルン気分で
「美味しそうな店」チェックをしながら
お散歩を楽しんでいた。
「うーん、神楽坂は、やっぱランチタイムがお得だよなあら。夜は高いわー」
昼のランチタイムはコスパ抜群すぎて泣けるね。
そんなことを考えていたら、不意に後方からバカデカい声がした。
女「あー!おいしかったぁ」
男「いい店だったなあ、また行こう!!」
響き渡る、やっかましい大声。
良い言葉を言っているのにもかかわらず、伝わってくるのは、ウザさ、うるささ、耳につく感じ、爽やかでない・・・。
「なんと、けたたましいっ!」と思い、私が振り返ると、
そこには50代後半のご夫婦がいた。
旦那さん(?)を見た瞬間!
一瞬で私に"衝撃"が伝わってきた!!!
どーーーーーーーーーーんっ!
「えーーー!?この人、
怨念? 怨霊背負ってるっ!!!」
旦那さんの顔を判別するより先に、生き霊だか、怨念だか、悪霊だか分からないけど、背負っている男の姿が、私の脳にダイレクトに伝わってきた。
「後ろの男の人、この男にパワハラされて
自殺したのかな? 鬱になって求職中なのか?」
メガネをかけた中年の地味な男性が、物凄い形相で旦那さんを睨みつけて、声にならない喚き声をあげ続けている。
霊視を続けたら、どうやら自殺っぽいことが伝わってきた。強すぎて怨霊化しているのだろう。
鬱で生きている人は、ここまでの霊体にはなれないだろうからなあ。
私は、この夫婦の半径1.5メートルにいることが耐えられず、距離をあけるために歩く速度を少し速めた。
すると、やかましい奥さんが、私に気がついて
「前の人、なんか早足で、あたし達から逃げてるみたーーいっ!」と、これまたデカい声で言うのが聞こえてきた。
異常にやかましい人間は、つまらないことに気がついて騒ぎ立てるという習性がある。他にも歩行者がいるだろうに。そんな些細なことを気にして、どーすんだ。
こういう輩は目が合うと絡んできたり、大声で騒ぎ立てるとか、ロクなことをしてこないので、私は奥さんの姿を見ずに、やかましい声色を手がかりに、後ろを振り返らずに霊視をしてみた。
すると、職場でヒステリックに威張り散らしている彼女の映像が見えた。旦那ほどではないが、複数の女性従業員から良からぬ念を受けているようだ。
被害者の怨念がまとわりついていて、まるで、怨念の万華鏡だ。
夫婦揃ってパワハラしていて
夫婦揃って怨念背負ってる。
常人では耐え難い、凄まじい怨念なのに平然としている。
私は今まで、こんな強烈な夫婦を見たことがなかった。
こんなパワハラ夫婦が、夜の神楽坂で贅沢なディナーを楽しんでいるのか。
怨念たちのパワーは凄く、普段は鮮明な霊視が出来ない私ですら、その時ばかりはハッキリ視えちゃったくらいよ。
しかし、どれだけの怨念を背負えば、この夫婦に因果応報の分かりやすいバチが当たるのだろうか?
現に、この2人は、凄まじい怨念に全く気づかず、美味しいディナーに大喜びだ。
怨念の力は、結局大したことないの?
たとえ今、可哀想な悪霊達が無力でも、化け物みたいなパワハラ夫婦が"報い"を受ける可能性はある。
それは『運気の巡り』と『自己攻撃による病』だ。
『運気の巡り』
今までパワハラやり放題でも裁かれず、ぬくぬくと生きてこれたということは、「やりたい放題を誰にも咎められない」異常な幸運期が続いてきたのだろう。
運の巡りを図で示すと
例えば、幼少期「養」から始まり、その後10年周期で幸運な大運が廻り、57歳で「帝旺」という隆盛が終わると、「衰」「病」「死」「墓」「絶」と、衰退の悪運期がやってくる。(※衰退運について、ポジティブな解釈をしている占い学校もあるけど、まんま衰退という流れになることもあるよ)
夫婦は50代後半。
高級ディナーで大喜びの様子からして、事象的に「帝旺」の運の中にありそうだ。
定年するまでに、無傷のまま会社から逃げおおせるか?
その寸前で運が尽きれば、定年退職寸前で、職場の人にパワハラ訴訟を起こされ、懲戒解雇されるかもしれない。
無事に訴えられずに定年を迎えても、運気は衰退に向かって進んでいる。
『運気の衰退』を、悪霊怨念は敏感に察知する。
標的の運気が弱くなる時、憑き物は、弱った獣に群がるハゲタカのように強くなる。
憑かれた人は、事故、事件に遭いやすくなったり、幻聴や被害妄想が出てきて、クレーマーになったり、犯罪まがいのことをしだす。
『自己攻撃』
今まで職場の人間に向けていた敵意や怒りが、今度は自分の内面に向かい、自己攻撃を始める。
「攻撃する」エネルギーは、癌や免疫系の疾患、慢性疼痛などになり、体内で争いが再現される。
そもそも、他人にパワハラをしなくちゃ生きてこれなかった人間は、自分の問題が全く片付いておらず、心理学的に見ても"内面ゴミ屋敷状態"だ。
外で行われていた暴力は、内で行われるようになる。
自己攻撃は健康だけでなく、家族関係にも現れる。攻撃性の高い夫婦が、定年退職後、同じ屋根の下で穏やかに顔を突き合わせていられるだろうか?
頻繁に喧嘩をし、旦那が浮気をしたり、子供に八つ当たりして、子供が家に寄り付かなくなった家庭を、私は幾つか知っている。
だが、たまに例外もいて、どんなに悪いことをしても、生まれてから死ぬまで、一切報いを受けない人がいる。
"北の将軍様"みたいなね。
まあ、彼も病の兆候が強くなってきたようだけど。
私は、三途の川からUターンしてきたので、あの世や来世を信じるけど、そういう人は、丹羽哲郎じゃないけど「死んだらおどろいた!」になるのかもしれないね。