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ボタン バキバキ! 危険なクリーニング店 #仕事の思い出

とあるクリーニング店の、裏方仕事をした時の話。

スキマバイトでたまに遭遇してしまうのだが、いわゆる大ハズレ現場に当たってしまった。

「ここの地域で、この民度?」と想定外なレベルの、場末のおばさん達とヤンキー従業員が集う店だった。


正面入り口しか見当たらないので、店に入って、店員に「おはようございます。タイミーから来ました」と挨拶をした。すると店員は、挨拶も返さず間髪入れずに「裏回れ!うらぁっ!こっちぃー!!」と、開口一番、大声でブチ切れてきた。

「なんだ?この受付は?」と、面食らった。

仕事が始まる前に、この店のGoogleマップのクチコミを確認したら⭐︎2だった。
多くの客から「受付にコミュニケーションに難ありの人がいます」「受付が最低。この地域で最低のクリーニング屋。2度と使わない」などと書かれまくっている。

何故、あんな受付を雇い続けるのかわからない・・・。


恐ろしいところに来てしまったが、幸い、この日は4時間だけの仕事だ。無心で乗り切ろう。


こういう劣悪な環境には、まともにコミュニケーションが取れる人が皆無なことが多い。
でも、とりあえず大きい声で
「はいっ!」
「ありがとうございます!」
が言えていれば、変な絡まれ方をしない。

「はいっ!」「ありがとうございます!」は、災難除け・魔除けのお経に匹敵する言霊パワーを発揮する。反対に、この2つの言葉をハッキリ言えないと、ネガティブで下品な、頭の足りない従業員らを、余計に怒らせてしまう。

実際、「はいっ!」「ありがとうございます!」を威勢よく言っていたら、怖そうな女達は、あまり攻撃的態度を取らなくなってきた。

加えて、彼女らのペースに飲み込まないよう、波長を合わせないために、私は敢えて「上品な奥様モード」に変身した。

都内の高級ホテルでバイトした時に身につけた、エレガント接客モードを意識し、自然な感じでお上品な言葉遣いを取り入れた。

すると「じゃねえの」「そんでよおー」という感じでしか話せない従業員は、少し面食らったようで、今までのオラオラモードから、「お、おう・・・」と及び腰になり、トーンダウンした。

また、作業指示やフォローがある度に「ご教授ありがとうございます」の気持ちを乗せて、返事を返していたら、段々と場が和んできたので、仕事がしやすくなった。


500社以上で働いているうちに、私のサバイバル能力が向上し、器用に立ち回れるようになったのだ!
ああ、良かった!



ここのクリーニング店は、サラリーマンのワイシャツを大量にクリーニングしているのだけど、仕上げの仕事中に、不思議なことに気がついた。

かなり多くのワイシャツのボタンが、バッキバキに割れているのである。わずかな"欠け"どころではない。"粉砕"している。

私は過去に他所のクリーニング店やクリーニング工場で働いたことがあったが、ボタンが欠けているワイシャツなんて、数着しか見たことがなかった。私自身、クリーニング屋を頻繁に使っていた時期があったが、シャツのボタンが欠けたなんてことはなかった。

しかし、ここのクリーニング店では、バッキバキに割れ、ボタンの原型をとどめていない、かろうじて穴に通せるプラスチック塊が服に縫い付けてあるワイシャツが、次から次へと大量に、乾燥機から出てくるのである。

仕事を終えた後、気になって、クリーニングでボタンが割れた時のことを調べたら、まともな店では「店側の損害賠償」という対応をするのが普通のようだ。

もしや、あの、まともにコミュニケーションが取れないヒステリック受付女は、損害賠償させないための用心棒なのかもしれないな・・・。


世の中に、こんな危険なクリーニング店が存在するなんて、初めて知った。


なお、あまりにも粗暴な従業員しかいないためか、「休憩室の電子レンジは、蛆虫が湧いているから使用できない」んだそうだ。蛆虫が湧くほど掃除すらされない現場は、547社で働いた私も、ここが初めてだった。

そんな休憩室で平然とご飯を食べている従業員を尻目に、短時間の仕事を終えた私は、とっとと悪夢のクリーニング屋からズラかって、美味しいコーヒーとスイーツを食べて気持ちをリセットした。




⭐︎スキマバイトの心得⭐︎

「ハズレの現場を引いたら、出来るだけ早めに、気分転換をしよう」

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おおかみ のみね @ 549社で働いた運期の探求者
不運な人を助けるための活動をしています。フィールドワークで現地を訪ね、取材して記事にします。クオリティの高い記事を提供出来るように心がけています。

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