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エコな社会の欺瞞な灯火 / 人は偽りで満足する
かつてはガソリン車が街中を走っていたというーーー
もはやそんな光景は街のどこにも存在しない。走る車はすべて電動式だ。
大小様々な車両すべてはバッテリー駆動となっている。
電気自動車は、すべてバッテリーだ。水素燃料式はまだ普及に差し掛かっていない。
だが、エコ社会を目指す第一歩として、ガソリンやディーゼル車が撤廃された。
「昔は走る車すべてから排気ガスがでていたって考えるだけで恐ろしいよ」
一台一台から大気汚染の元となるガスがでていたのだ。
前世紀の人たちはどうやって耐えていたのだろうか。
もはや都市部で石油燃料が利用されることはない。ほぼすべてが電気の力で動かされている。
着実にクリーンな社会を実現しつつあるのだ。
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田舎には不釣り合いな大きな施設。
「さてと」
男は今日も出勤する。
見上げると長大な煙突が見える。
もくもくと煙が上がっている。一応、煙突の中には最先端の技術が使われたフィルターが設置してあり、有害なものは含まれないようにされている。
けれども、その施設からえんえんと煙は昼夜問わずに出続ける。
都市部で使われる莫大な電気消費を支えるため、今日も化石燃料が燃やされ続けていた。
火力での発電量ーー消費量は右肩上がりだ。
最近は消費量の増加を見込んで、新たな発電所を建てる計画を進めている。
エコでクリーンな街並みを保つため、その施設は火を絶え間なく、起こし続けていた。