世にも奇妙な伝言ゲーム/デスマーチが生まれる邂逅
「これ、できますか?」
そういって、営業の男が紙切れを持ってきた。開発者の男が紙切れを見る。
「うーん、これは難しいなぁ」
「そうなのかい?」
「ああ。完全に無理、というわけではないけれどもね」
「どう難しいんだい?」
「まずは納期。この納期では無理だなぁ。これを実現するためにはウチで技術検証をするだけでも納期分かかる。なのでやるとすれば最低限、倍はかかるよ」
「人手を増やしても?」
「人手を増やしたとしてもすぐにできるもんじゃないから。ただ多少早めることはできると思う。ただまずこの納期では無理かな」
「なるほど」
「それにこれを実現するならばさっきいったように新たな技術検証が必要だ。やったことないからこれ用の環境を用意しないといけないから、既存のよりコストもかかる。いまの手持ちでやるんだとしたら、ここのとかこういった機能とはできないから。もしそれでもいいという話とかを事前にしておくべきだろうね」
「なるほど。ほかには?」
「それに要件が全体的にざっくりしているからなもうちょっとキチンと定義をしておかないと多分、トラブルになる可能性があるような気がする。
ともかくこの納期、この機能実装だと、ウチでもだけど⋯⋯おそらくほかでも難しいんじゃないかな? ウチが無理だから他で、ということにはあっさりならないだろう。だろうからそこを踏まえて、現実的なすり合わせをしたほうがいいんじゃないかな?」
「なるほど。よくわかったよ。今度顧客との打ち合わせの際は、そこをキチンと確認するよ」
「ああ。頼むよ!」
ーーーーーー後日の商談
「難しいですが、なんとかいけます!!!!!」