ひとり親で育ててくれた母の真実 / 母が残してくれたもの
親父が幼い頃に亡くなった。
まだ小さかった。けれども物心はついていて、ちゃんと親父と過ごした記憶はある。
が、急に事故でなくなった。
それから母一人で俺は育てられた。
片親となってから母はずっと外にでずっぱりとなった。
俺は寂しかった。
けれどもそれは俺のために母が必死に働いてくれているからだった。
早朝でかけ、帰りは深夜になることもあった。
遅く変えることはザラで、晩飯もスーパーの値引き品が多かった。
けれどもちゃんと晩飯を用意してくれる母に感謝した。
貧しかったが、それでも俺を大学まで育ててくれた母には感謝している。
そんな母が亡くなった。
俺が社会人となり、家を出ていって十数年。
その間、偶に帰省をするくらい。
俺が独り立ちしても母は働き続けていたらしく、帰ってもちょっと顔を合わせることができるくらいだった。
すれ違っていたとも言える。
多くの家庭や家庭と比べて、一緒に過ごした時間は少ないだろう。
けれども、俺は母を尊敬していた。
俺を育てるために一生懸命な母を愛していた。
そんな母の葬式を終え、遺品整理をしていると、一冊の通帳と母がいつも持っていた手帳が出てきた。
その通帳と手帳のメモが教えてくれた。
父がなくなり莫大な生命保険が入ってきていたらしい。
その金を使い、母は毎日パチンコをしていたらしい。
毎日朝から晩まで。日がな一日。
俺が一人で過ごす間、ずっと。
家を出てからもずっと。
通帳の記載はいつしかゼロになり、マイナスが記帳されていた。