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息子が生まれてはじめて選んだ「器」

世界一どうでもいい情報だけど、わたしは料理をすることが好きじゃない。

料理をすることは好きじゃないけれど、料理を盛るための「器」は好き。

本を読むことは好きじゃないけれどブックカバーは好き、みたいな感じ?
スマホほとんどいじらないけれどスマホケース集めちゃう、みたいな感じ?
とにかく本末転倒と言うか、なんでなんみたいな感じで「器」が好き。

素敵な器を見かけると、うわーん、わたしが作るショボ料理なんかを盛られるこの器さまがかわいそううう!!と嘆きながら、しれっと買ってしまう。
そして、手間も暇も愛情もかけない料理を盛って、やっぱり器がいいと料理もうつくしく見える…すごいぜ、器の持つ力!!と感動する。

うん。料理が好きじゃないからこそ、「器」が好きなのかも知れない。

そんなわたしなので(?)、息子にも1歳児の頃から陶器の茶碗やお皿を使わせている。
出産祝いでメラミンやプラスチックの食器セットをいただいて、離乳食はそれで食事をさせていたけれど、んー、見ていてすこし味気ないな、と。

幼児に陶器の食器を使わせることを話すと、えー割られたらいやじゃない?と言うひともいたけれど、そんなことはかまわない。
かたちあるものはいつかは壊れるし、陶器は割れるのだということをこどもに教えることもできる。
て言うか、そうは割れないよ、陶器。わりと強めに落とさないと。実際、息子はまだ食器を割ったことなんてないもの。

別に「食育」なんて立派なことをやりたいわけじゃなくて。素敵な器に盛られてちょっとはおいしそうに演出された食事を息子に出したいだけ。そんでもって、わたしのお気に入りの器で料理を食べる息子がかわいいっていう、ただそれだけ。

波佐見焼のお茶碗に、九谷焼のお皿、イッタラのグラス。
大好きな器と、大好きな息子、最高の食卓。



ふらりと立ち寄った食器売り場で、息子が「このお皿がほしい」と言った。
何を買いにきたわけでもないし、息子にも何かを選ぶようになどと言っていない。
だけど、声がしてふり返ると、息子が一枚のお皿を手にして立っていた。

息子が選んだのは、木製の角皿。

「このお皿に、ハンバーグのせたいの!」

作家ものでも何でもない安いお皿だったけれど、とても素敵だと思った。
出会った瞬間に、その未来を想像する、これこそが「器」選びの楽しみだと思う。
息子はそんなことができるのだな、とうれしくなった。



ハンバーグを作るのは、やっぱりすこしも好きじゃないと思った。
だけど、自分の選んだ器に、自分の期待したものが盛られて出てきた瞬間、息子はとてもうれしそうに笑ってくれた。

息子が生まれてはじめて選んだ「器」。
大切に使っていこうと思う。


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