やってみたいは、やらせてみる
息子が行きたいと言った場所は
できるだけ行く。
息子がやりたいと言ったことは
できるだけやらせる。
これはわが家の育児のモットーだ。
ちょっとした無理難題にも
どうにか応えられるように、
知恵をしぼるようにしている。
*
昨年の12月も半ばを過ぎた頃、
息子が近所の家の軒に
柿が吊るしてあるのを見つけた。
あれは何かと聞くので、
干し柿だと教えてやると、
「ぼくもやりたい!」と言い出す。
なんと、気軽に、まあ。
当然、その時季にはもう
渋柿など手に入れるのは容易でない。
何よりわたし自身が干し柿など
作ったこともないので弱った。
でも、やろうと思えばできるのだ。
スーパーで甘柿をふたつ買い、
ひとつは「干す前の柿」として
その日のうちに食べてしまった。
残ったひとつを、皮を剥いて熱湯消毒し、
竹串を刺して、紐で物干し棹に干した。
甘柿だし…鳥が啄みにきたらどうしよう。
そんな不安を抱きながら、
1ヶ月近くして「干し柿」が完成した。
当然ながら、その干し柿は甘かった。
はじめから甘柿だったから。
この出来事は正確には、
息子の「やりたいこと」の疑似体験だ。
少しも完璧ではない。
だけど、
やってみたいと思ったことを
やらずにいるのはつまらない。
*
ロケットが見たいと言えば
つくばの宇宙センターに行った。
恐竜の化石が見たいと言えば
上野の科学博物館に行った。
新幹線の写真が撮りたいと言えば
カメラを与えて駅に連れていった。
スケートがやってみたいと言えば
すぐにスケート場へ出かけた。
息子の「やりたい気持ち」は
かけがえがない。
だから絶対にやらせたい。
ダメとか無理とか、また今度とか。
そんなつまらないことは言いたくない。
息子には知っていてほしい。
やりたいと思えば何でもやってみるといい。
行きたいと思えばどこへでも行くといい。
やりたいをやってみなきゃ、
「できない」にも気づかなかったはず。
行きたいへ行ってみなきゃ、
「知らない」にも気づかなかったはず。
やりたい気持ち、行きたい気持ちが
息子の世界を無限に広げてくれる。
そのことを息子に知ってほしい。
*
さて。
最近の息子の「行きたい」は、
「東京オリンピック」だ。
わが家は見事にチケット抽選全滅。
どうすれば息子の「行きたい」を
叶えられるか夫とともに思案中。。