[47]流し台 三首
立ちあがり
ぱっと開いて
やや包む
流しで茶碗の誕生なぞる
しっくりと
水すくう手に納まった
湯呑み眺めて
他人の手思う
汝を抱き
我も抱かれて
彼が包む
仲良く茶碗重なる流し
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「歩行瞑想」というものがあるそうだ。
だったらこれも
瞑想と言ってもいいのではないかと、
最近の自分の変化を感じながら一人悦に入っている。
自由を手に入れた私は、
義務の伴う仕事から解放され、
時間に縛られることがなくなり、
人の目を気にすることもなくなって、
これまで私を縛っていた
様々な見えない縄から解き放たれていった。
そしてある時、
家事を味わっている自分に気が付いた。
例えば食器洗いは、
短時間に少量のお水で効率よく食器を洗う、
ただそれだけの作業だった。
それにかける時間も労力もできるだけ減らそうとした。
流し台に溜まった食器は私に自己嫌悪を抱かせた。
今やるか先送りするかで葛藤を生じさせた。
そのことがますます私を不快にした。
それが今は、
じっくりと食器の形を味わうように洗う。
お茶碗の丸みを帯びた胴体から
ご飯を迎え入れるようにわずかに開いた口。
水をすくう形に丸めた自分の手のひらに、
心地よく納まるころんとした形の湯呑み。
これを作った方はどんな手をしているのだろう。
そんなことを思いながら丁寧に洗うと、
水切り籠に並んだ食器はますます清々しく、
きれいになった流し台は銀色に輝いている。
食器を洗うことは、
いつの間にかとても心地よい習慣になっていた。
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