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インプットする前に、まずは作れ。
僕は音楽を作りたい。
僕は小説を書きたい。
僕は映画を撮りたい。
僕は起業がしたい。
でも、そういう「やりたい」を見つけたときに、いつも毎回「作り方」を勉強する。
音楽理論の使い方、小説の書き方、映画の撮り方、ビジネスの始め方。
そうやって知識だけ集めて、頭でっかちになって、結局なにもしないで諦める。
そういうことばかりしている。
だから、僕は周りの人と比べて映画に詳しい。音楽に詳しい。小説に詳しい。スタートアップに詳しい。
だけど、何も始めていない。だから、当然のようになにも結果が出ない。
周りの人と話したときに「賢いね」とは言われるけれど、その賢さを何かに生かしたことは一度もない。
本当に結果を出している人の話はつまらない。
少なくとも、学生で成功している人の話は想像以上に薄弱だ。
確かに、早熟のアーティストはインプット量が多い。
いろんな音楽を知っている。
崎山蒼志さんも、Vaundyさんも、原口沙輔さんも、めちゃくちゃ音楽が詳しい。
だけど、結局成功した秘訣は「早いうちから量を作っていたから」に収束する。
実際に原口沙輔さんは以下の動画のなかで
https://www.youtube.com/watch?v=8NbWtVsaabU
Q.どのようにDTMの技術を磨いてきましたか?
最近はYouTubeとかネットの記事でも、十分いい情報が取れるんですけど、ただ僕は当時は、本当に試行錯誤というか、自分が何度もやる、何曲もつくるとか(で技術を磨きました)。
全然いいものができないし、思っている音も出ないしみたいな状態から、自分が分かる範囲で、多分ほんとはこれをやる為のプラグインとかがあるんだろうけど、ちょっと仮で、これでやってみる。
(中略)
そうやって自分で(作曲方法を)見つけていくと、それが手札になったりするので、それをどんどん応用していって、手を広げていった感じです。
このように、『イガク』『人マニア』を作った早熟の天才・原口沙輔さんでさえも、最初は試行錯誤をしていたという。
この試行錯誤には莫大な時間がかかるし、「もっと勉強すれば上手い方法があるのでは…」と勉強効率を疑ってしまいたくなる。
しかし、大量にインプットだけして、作品の量を作っていないアーティストは成功しない。
そして、大学生にはそういう人がいっぱいいる。
いろんな名作や名盤だけ知っているけど、本人は何も手を動かさない。
ビートルズから宇宙ネコ子まで、シェイクスピアからダウ90000まで、Googleからタイミーの成功事例まで観ているくせに、何も作らない。
僕がそうだ。
インプットしているときは、とても居心地がいい。
ものすごい速さで頭が良くなっていく気がする。
その結果、ほんとうに自分が作りたいものが分からなくなる。
そして、「本当に作りたいもの」を探すためにまたインプットする。
やがて何も作れない評論家ぶった素人が完成する。
それよりも、まずはひたすら手を動かすしかない。
ゴミを量産する気持ちで作りまくる。作り続けるなかで課題を浮き彫りにさせる。
脳みそが千切れるまで考える。諦めたくなる。
既存の名作やケーススタディを学ぶ方向に逃げたくなる。
「インプット」「勉強」という名目で、受動的にコンテンツを消費したくなる。
それでも踏ん張ってゴミを作り続ける。
そういう、産みの苦しみを存分に味わった人でしか、本当のクリエイターにはなれないのだと思う。
もちろんインプットは大切だ。
勉強せずに量だけ学んでも、ゴミを作り続けるだけだ。
でも、インプットは作ってからで良い。
自分の作品の課題感がわかったら、それを直すために答え合わせとして作品を見る。
数学や英語の勉強と全く同じだ。
数学の問題を解く前に答えを丸暗記したら、まったく身につかない。
まずは手を動かして、大失敗して、効率が良い方法(公式)を覚えて、また解いて、答え合わせをする。
最初から答えを丸写しする学生の成績は上がらない。
英語でも、ミスを恐れて文法書ばかり読んでいたって上手くならない。
文法はハチャメチャなままネイティブと話すなかで、徐々に上達していく。
この試行錯誤を恐れてインプットに逃げるのは甘えだ。
僕は最近、そればかりをしていた。
もう辞める。
今年は本気でモノを作りまくる年にしたい。