母とバースデーケーキ
誕生日にはケーキを食べる、これは自然の摂理である。
というのは嘘で、とりあえず何かにつけてケーキを食べたいと考えている我が家では世間の文化にのっとって、誕生日付近の土日にはケーキを食べる。これは我が家の摂理である。
従ってケーキやタルトを焼くわけだが、先に言っておく。私は生クリームのホールケーキを作るのが苦手だ。
まず生クリーム自体があまり好きではない。この時点でだいぶ作る気力が失せてしまう。
次にホールケーキの工程が面倒である。シロップを作ってうたねばならないし、平行になるよう切るのも下手くそだし、そしてなにより、ナッペが大の苦手なのである。
しかし母はそれを知ってか知らずか、誕生日ケーキのリクエストはと聞くと「いちごの生クリームのホールケーキが食いたい」と言ってくるのだ。(なら聞くなという話である)
ジェノワーズを初めて焼いたのは、確か小学校2年生の時だった。
テレビでやっていた子供向けの料理番組で紹介していたレシピを母が録画して、それをもとに作った気がする。そのレシピは紆余曲折を経て、今なお我が家で使われている。
材料(6号サイズ)
・卵3個
・砂糖90g
・薄力粉80g
基本、そして最低この三つがあればいい。本当はここにバターや油、牛乳などを加えたり、ベーキングパウダーを加えることもあるが、最低これだけあればスポンジケーキは焼ける。だからこそこんなに長いこと作ってるのかもしれない。
たぶん来年もこれからも、面倒くさいなあと思いながら焼くのだと思う。