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すぎたことなど 夢とおなじさ。コテンラジオを聴き、やなせたかしを想う夏

東日本大震災の少しあとに出会い、
心に留めていることばがあります。

ほほえむことを
忘れちゃいけない
すぎたことなど
夢とおなじさ

やなせたかし
フェリシモのチラシ。
当時とても印象的で、スマホで撮影して残していました


私自身の人生でメガトン級の事件が起き、
立ち直ることに時間がかかったとき。
このことばに救われました。

すぎたことなど夢とおなじさ。

コテンラジオ「それいけ!やなせたかしとアンパンマン」

この夏休みは
車で長距離移動することが多く、
親子でコテンラジオを聴いていました。

この夏聞いたのは、
秦の始皇帝編と
やなせたかし編。

秦の始皇帝編も面白かったけど、
親子で胸を打たれたのは
やなせたかし編でした。

同じように心打たれた方が多かったようで、SNSやnoteでも話題になっています。

合計250分!もあるエピソード。

コテンのヤンヤンさんが、やなせたかしの半生をしっかりと聴けるストーリーに組み上げて語ってくれたので、親子で飽きることなく駆け抜けられました。

印象的だった「陰と陽」「人のために生きる」

250分のエピソードで語られた、
やなせさんが、戦争で失ったもの。
経験した飢えと悲しみ。

レジェンド漫画家が次々生まれる時代の中で、自分が本当に得意なこと、やりたいことを探し続ける葛藤。

60歳になってアンパンマンでブレイクし、94歳で亡くなるまで第一線を走り続けたこと。
アンパンマンに込められたメッセージ。

共感と圧倒と驚きが溢れるエピソードばかりでした。

特に印象に残ったのは「陰と陽」の考え方。

今は正解がない時代だなんて言うけど、
歴史の中で何度も正しさはひっくり返ってきたし、善と悪は共依存の関係にある。

私自身、「正解はなくて、グラデーションのなかで正解にしたいものを選んでいくんだ」と考えています。

だからエピソードにとても共感できたけど、やなせたかしの場合は戦争の経験を通じて得た思想だと考えると、その説得力に胸が苦しくなります。

唯一、戦うべきものは「飢え」だから
アンパンマンは食べものを与える。
菌は絶対的な悪ではないから、
バイキンマンを消滅させることはない。
(パンと菌は共依存してる)

そして、「人のために生きる」ということ。

アンパンマンを愛してくれる子供たちのために、何ができるのか。
その問いに正解はないし、
いつまでも終わりがない。
だから走り続けられる。

子供たちに向き合うために、そして自分の子供であるアンパンマンを生かし続けるために、やなせたかしは走り続けた。
これも、94歳まで生涯現役だった姿を知っているから説得力がすごいです。

自分の成功や富のために生きることにも
終わりや正解はないけど
自分だけのためには、
人は走り続けられないのかもしれない。


最後のエピソードを聞いていたとき、
前を走る車の後ろに「KIDS IN CAR」のステッカーが貼ってありました。
ステッカーの中でピースをしている、アンパンマンとバイキンマン。

やなせたかしがこの世に残した想いが、
目の前で微笑んでいる気がして
ボロボロに泣きました。
車っていいですね。
泣いたって誰にも気にされない。

余談


先日、NHKのプロフェッショナルの再放送を観ました。
名探偵コナンの作者・青山剛昌さんの回。

晩年にアンパンマンを生み出し、才能を開花させて94歳まで働き続けたやなせたかし。
かたや、30歳そこそこでコナンを生み出して30年以上、今なお愛する漫画とファンのために体を痛めつけながらも走り続けている青山剛昌。

対照的でもあり、重なるところもあるふたり。
早くに才能が花開くことと、
じっくりと花開くときを迎えること、
それぞれに喜びも苦しみもあるのだなと思います。

やなせたかしの半生を反芻しながら、青山さんの人生にも、コナンに勇気づけられる人たちにも、笑顔がありますように。
と勝手に願ってしまったお盆でした。

この前、鳥取の青山剛昌ふるさと館に寄りました
息子氏、大喜び

*キャプションの写真は、2019年に高知のやなせたかし記念館を訪れた時に撮ったもの

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