4進法で上る
小さな男の子が、お父さんと一緒に階段を上っていた。
“い~ち、に~、しゃ~ん”
お、数も数えられるんだね。
“い~ち、に~、しゃ~ん”
ん?3までか。
周りに人はいない。
私と父子だけ。
男の子は一生懸命上りながら数えている。
私にとっては、特に大きくもなく普通の階段。
男の子にとっては立ち憚る壁のようだろう。
それでもめげたりはしない。
ゆっくりだけど確実に。
“い~ち、に~、しゃ~ん“
辛抱強くお父さんは見守る。
彼にとっては全ての数が4進法。
頑張れ頑張れ。
こっそり微笑んでエールを送る。