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本を読む順番

最近感じるのは、実用書などを読む際には「先に読んでおいた方がいい本」つまり、「読む順番」があるということです。

これは僕が個人的に思うことであって、自分でもその順番が正しいのかはよくわかっていません。

ですが、いわゆる「名著」と言われる書籍や、現在まで何十版も発行されているような書籍は「先に読んでおいた方がいい本」に該当する事が多いように思います。

僕自身もまだまだそういった未読の定番の名著は文字通り山積みの状態ですが、読了した本の中の一例では、D・カーネギーの『人を動かす』やベネディクト・アンダーソンの『想像の共同体』、ダニエル・カーネマンの『ファスト&スロー』などが挙げられるのではないかと思います。

これらの本は教養本や読んでおくべき書籍を紹介する場面などでは定番中の定番という書籍だと思います。

これらがどうしてそういった「読むべき本」として紹介されているかと言えば、昨今上梓されている書籍の多くはこうした「読むべき本」のエッセンスをその核として書かれている事が多いからだと思います。

内田樹の『寝ながら学べる構造主義』の中に僕が書籍を読んだり、何かを言葉にする際に意識している部分があるので引用します。

私がことばを語っているときにことばを語っているのは、厳密に言えば、「私」そのものではありません。それは、私が習得した言語規則であり、私が身につけた語彙であり、私が聞き慣れた言い回しであり、私が先ほど読んだ本の一部です。「私の持論」という袋には何でも入るのですが、そこにいちばんたくさん入っているのは実は「他人の持論」です。(内田樹『寝ながら学べる構造主義』)

私たちが何かを思考したり、その思考を言語化したりする時は、自分の言葉や考えを「自分の言葉」で話しているようで、実はそれまで自分が読んだ書籍や影響を受けた人の言動や思考を借りているに過ぎないという事です。

自分の頭で考えているようで、実は、「自分の頭だけ」では考えることはできないのが人間だと僕は思っています。

話が少し逸れてしまったのですが、ここで先ほどの書籍を読む順番の話に戻します。

何十年も読み継がれている書籍や本質的な概念を捉えた書籍、それらが名著と言われる書籍の特徴ですが、そういった名著というのは、時代を経ても多くの人に読まれており、多くの人の思想形成に大きな影響を与えています。

ダニエル・カーネマンの『ファスト&スロー』は人が陥りやすい思考の落とし穴(バイアス)がどんなものか、そして、その落とし穴に落ちないためにはどんな考え方を持っておくといいのかという「武器」を与えてくれます。

そして、書籍を執筆する人たちというのはそういった定番の名著をほとんどの方が読んでいると僕は考えています。

もちろん全てとは言いませんが、少なからずの人がそうした「他人の持論」を援用して書籍を執筆しているのではないかと思います。

現在世に出されている書籍はそれこそ無限と言っても過言ではないレベルで売り出されており、「これだけは読んでおくべき」という書籍でも相当数があります。

なので全部が全部を読み切るのはなかなか難しいという状況ではありますが、そうした中でも、各分野の「定番中の定番」と言われる書籍はだいぶ数が絞られていると思います。

いきなり取っつきにくい場合もありますが、名著が名著である由縁が必ずあります。

その由縁が本質的であり、多くの人の思想体系に影響を与えているのであればその書籍を読み切ることで、その分野で広く繰り広げられている議論の枠組みを理解する大きな助けになるのではないかと僕は考えています。


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