告別と絶筆。一期一会のシンフォニー~フェスタサマーミューザ2022~一流のオーディエンスを目指して
ミューザ川崎のフェスタサマーミューザ、昨日初めて行きました。夏の間は普通のコンサートは激減します。ミュージシャンが夏休みなのかしら?伝統的に音楽家のタニマチ?である富裕層は避暑に軽井沢にでも行ってるからかしら?
真相は知りません(笑)。
しかしまあ、ミューザ川崎では2週間あまりの間、いつもと違った仕掛けをしたり、普段クラシックに馴染みのない人やお子さん連れのファミリーが楽しめる企画とか、カジュアルに、舞台に上がる方も、聞く方も楽しめる夏休み企画なのです。
私が行ったコンサートは、読売日本交響楽団を、井上道義さんが振る、という夜でした。ハイドンの告別と、ブルックナーの9番(これはブルックナーの絶筆になります)。
ハイドンの交響曲45番、告別はいたずらっぽく第4楽章で、演奏者が次々舞台を去っていき、遂には指揮者すら去り、バイオリンの二人が残るけど、その二人も立ち上がって奏でながら舞台袖に入っていって終わる、という仕掛け。舞台の背景のスクリーンには、オケの人たちのプライベートに寛ぐ姿が写し出されます。自慢の愛車と共に、二人の娘に絵本を読む、愛犬と戯れる、黒ビールをジョッキでぐびぐびと。音楽を、舞台を離れた夏休み、なのですね。もちろん、指揮者の井上道義さんも船でフィッシングを楽しまれ、獲物を手にパチリの一枚。
演奏はといと、井上さんは、いつも楽しく振る方ですがのびのびと、表情豊かに。のけぞったり踊るようだったり、突っ伏したり、老人のようにヨボヨボしたり。唯一無二の指揮者、井上道義さん。そして、一緒にミューザ川崎も企画したのでしょうか。オケのメンバーも楽しんで演奏されていますね。
一方、ブルックナーは、重々しくも潔く、弦はガツガツと鳴らし、ひたすらピチカート、ピチカート。また、ガツガツ、ガツガツ。深みのある弦楽たちが頼りがいのある様で。
管楽器もひたすら吹き鳴らす。パンパン。ティンパニもパンパン。ホルンが、トロンボーンがテンション高い。
そして、最期にはその強い意思は小さな呟きとなり、永遠へと旅立っていくようでした。
井上さん、楽しい指揮、ありがとう。引退宣言されていますが、本当に引退されるのでしょうか。
相変わらず指揮をしてるのか、ダンスやパントマイムしてるのかわからないけど(笑)、美しい音楽と飽きないパフォーマンス。クラシック音楽家らしからぬ茶目っ気と、カッコいい外見でカリスマ性があります。カーテンコールの時に実は派手なシャツを着ていた、というのを披露されました。会場も一瞬、緊張や感動から緩んだ瞬間でした。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?