コバケンワールドVol.33〈チェロ/堤剛〉~一流のオーディエンスを目指して
26日、日曜日は雨の中、サントリーホールに行ってきました。
炎のマエストロ、コバケンこと、小林研一郎さん指揮、日本フィルのコンサート。チェロの第一人者堤剛さんをゲストに、グリンカ:歌劇《ルスランとリュドミラ》序曲、チャイコフスキー:ロココ風の主題による変奏曲イ短調op.33、ムソルグスキー:組曲《展覧会の絵》。
恥ずかしいけれど、クラシック万年初心者の私にはグリンカという作曲家も歌劇《ルスランとリュドミラ》序曲もお初。けど、いきなり勢いよくオケが飛び出す楽しい短い曲で、会場の集中力をぐっと掴むコンサートの幕開けにふさわしいですね。ロシア的な土臭さも好きです。
チャイコフスキー、ロココ風の主題による変奏曲は、プログラムにあるように事実上のチェロ協奏曲ですね。これも、お初。チャイコフスキーの脳内イメージの、一時代前である優雅な宮廷音楽の変奏曲になります。モーツァルトをリスペクトしたチャイコフスキーが楽しみながら作曲したのではないかしら。
さて、お目当てはムソルグスキー(ラヴェル編曲)、組曲《展覧会の絵》。これも恥ずかしいけれど、70年代ロック少女だった私にはEL&Pの曲として最初に聞いたのでした。印象的なプロムナード。繰り返されるプロムナード。この主題を挟んで様々な展覧会の絵が展開される。分かりやすく楽しく、ラヴェル編曲しか知りませんが、確かに怪しげな魔術的な魅力に満ちていました。
堤さんのチェロの音は、柔らかさと強さがあり、肉声でチェロが歌っていました。まるで、命が吹き込まれているようでした。堤さんの体とチェロが一体化していて、堤さんに弦が張ってあるみたい。
日本フィルの痩身の演奏は緊張感に溢れ、観客を強くひきつけていて、今、この時を共有している、という至福の時間でした。
コバケンさんはいつもながら、ソリストとオケの皆さんに対するリスペクトが凄い。温かい人柄と、燃え上がる音楽愛。カリスママエストロ、健在です。全く年齢を感じさせない。あちこちポンコツで情けない私が恥ずかしいです。精進しなければ、、、