はるかなる「ペン・フレンド入門」
その頃(はるか昔)にしか見られない本〜「ペン・フレンド入門ー誰にでもできる外国との文通ー」。禰津義範著。現代教養文庫350。 S37(1962)社会思想研究会出版部刊。
まだ外国には簡単に行けなかった頃ですね。小学校の頃、クラスでアメリカの小学生からのクリスマスカードがみんなにそれぞれ配られて、返事を書いたらまたクラスでまとめてアメリカに送るというようなこともありました。
外国に対する憧れというのが日本人全般にあった頃です。この本の内容は目次を見ると、海外への目、外国との文通によってえられる収穫、といったプロローグから、具体的な、外国郵便の種類、英語の手紙の書き方などに続いて、「なぜ手紙の返事がこないのだろうか」とか、「外国にペン・フレンド(ペン・パル)を求めるにはどうしたら良いか」とか「どんなことを手紙に書き、どのように文通したらよいだろうか」とか、なかなか親切である。
外国に日本の正月を紹介したりの他、核実験禁止を全世界に訴える、ベルリン問題を考える、災害の救援の依頼に答える、といったものから、切手、人形の交換などまで、幅が広い。実際の外国からの手紙の紹介が、英、米、仏、独、伊、スコットランド、アラビア、アイルランド、ノルウエー、カナダからのものが紹介されている。
著者は中学の先生らしく、外国との文通を学校の学習とどのように結び付けて考えるかというような項目もあり。先生らしく、クラスでの実践だと思うが、100人出して返事が来るのは40人、返事が来たものの喜びと返事が来ないものの失望は、勝者と敗者の状態になってしまい云々、「頭が悪いからだとか能力がないからだと考えてはいけない、来ない理由はA相手の住所が不明確な場合と、B差し出し人の住所が不明確だからがほとんどで、C趣味、性別、年齢が希望と違った、D相手が夏休みなどで留守か病気」とフォローされている。なんか微笑ましい。
その頃は国内でも文通という習俗?があったと思う。少女雑誌でも投稿欄で文通相手を募集したりしていた。男女のペン・フレンドが顔を見ないで文通しているうちは理想的に妄想が出来上がっていて、初めて会ってガッカリというようなこともよくありましたっけ。